「BELLOCO」や「ZALI」などのビストロ系、予約が取れない隠れ家「JEJU SAGYE」、カフェみたいな韓国鍋専門店「JOLIE・HOUSE」、ふわふわのチヂミが絶品の「韓国厨房」など、個性的で本格的な韓国料理店が増加中の上海。
そのなかにはもちろん韓国中華のお店もあります。昨今のブーム前からあるお店もあって、意外に中国人の間でも人気が定着しています。
人気店が集まっているのは、上海市街地の南西部に位置する虹泉路と銀亭路。昔から韓国街として賑わっているエリアです。
お店のターゲットは、通りに面した高層マンションに住む韓国人駐在員とその家族がメイン。韓国系の銀行や生活用品店などもあり、飲食店もどちらかというとビジネスマンや家族向けで、そこに韓流好きの若い中国人が入ってきているという構図の街です。
ということで今回は、そんな虹泉路、銀亭路エリアでこれまで食べた韓国中華のお勧めを紹介したいと思います。
が、私自身、韓国中華は上海でしか食べたことがなく、韓国料理に関しても深い知識ゼロです。日本の韓国中華、本場韓国の韓国中華と、逆輸入先の上海の韓国中華がどう違うかはわかりません。なので、「上海で流行っている韓国中華はこんな感じなんだー」という軽い視点で見てみてください。
まずは「一拼香韓式炸醤麺」の「炸醤麺拼海鮮麺(ジャージャンミェンピンハイシェンミェン)」。
炸醤麺と海鮮麺(ヘムルチャンポン)を同時に楽しめる、火鍋的な発想の麺です。
味が濃そうなのに、実はやさしくてまろやかな炸醤麺は、見た目濃そうな上海料理に通じるものがあると思いました。
「一拼香韓式炸醤麺」のもう一つのお勧めは「糖酢肉(タンツーロウ)」。タンユスク(韓国式酢豚)です。
揚げ豚を甘酢と辛口の2種類のタレにつけて食べるというもの。「咕咾肉(酢豚)」よりも東北料理の「鍋包肉」に近いでしょうか。近くのテーブルに座った韓流好きっぽい中国人の女の子たちはおやつ感覚でつまんでいました。
次にご紹介するのは「淘淘園」の「炸醤飯(ジャージャンファン)」。
炸醤麺のタレ(餡?)を海鮮炒飯に添えた一皿です。通りがかりに偶然頼んだのですが、エビやイカたっぷりの炒飯のおいしさにまずびっくりしてしまいました。これに“炸醤”がたっぷりついていて、好みでかけたり混ぜたりしながら楽しめます。付け合わせは海鮮麺のスープ。
「淘淘園」は炸醤麺の専門店なのですが、私は次回も麺ではなく炒飯を頼むと思います。
最後にご紹介するのは、上海の韓国式中華のお店ではもっとも老舗と思われる「青瓦楼」の「干烹蝦仁(ガンパンシアレン)」。
上海で暮らす私たちが恋しくなる味といえば日本の中華だったりしますが、特にエビチリは日本っぽい味を探すのに苦労します。「青瓦楼」のエビチリは、「辛すぎてちょっと違うんだけど、酸味×甘味のあの感じは日本っぽいかな」と思える味。
赤青の唐辛子の細切れがたっぷり入っていて、タレだけでもビールが進みます。
「青瓦楼」のもう一品は「蒸餃(ジェンジャオ)」。韓国式の蒸し餃子です。
胡椒が効いた豚肉餡とキムチ餡の二種で、コチュジャンを薄めたようなタレにつけて食べます。あまり注目されませんが、韓国の餃子ってじっくり味わうとかなりおいしいと思います。
上海のスーパーでもbibigoのワンマンドゥが売られていますが、水餃子風にしても、鍋の締めに入れても、焼いても可。韓国餃子は、韓国式中華のなかでもいちばんうまく進化した料理なのではないでしょうか。
ほかにも「流三絲(リウサンスー/野菜と肉の細切り炒め)」、「全家福(チュエンジャーフー/海鮮の炒め物)」「南煎丸子(ナンジェンワンズ/肉団子)」「八宝菜(バーバオツァイ)」などが上海の韓国式中華料理店の定番のよう。
が、虹泉路周辺には中華系以外にも本格的な韓国料理屋さんがありすぎるので、全メニュー制覇には定期的に通っても数年かかりそうです。
最後に、上海の韓国中華のお店のお決まりミッパンチャン(料理の前に出てくる無料のおかず)は、黄色いたくあん、生たまねぎ、キムチ、甜麺醤に似たタレの4種でした。今回ご紹介したお店のどれもがこれ。
日本の韓国中華、本場韓国の中華料理店も同じなのでしょうか。
日本の韓国中華事情
(萩原晶子)
店舗情報
一拼香韓式炸醤麺
上海市閔行区虹泉路1078号井亭天地西区2楼05
10:00-21:30
淘淘園
上海市閔行区虹泉路1078号井亭天地西区3楼303
11:00-21:00
青瓦楼
上海市閔行区銀亭路68-78号3幢103室
10:30-21:30