上海からギリギリ日帰り圏内のお勧めの街といえば浙江省の温州です。
温州といえば、私の中ではイタリア(昔イタリア在住の友人が住むフィレンツェへ行ったとき、会う中国人が全員温州人だった)。あとは商人気質で富裕層が多いイメージ。それと、道の街路樹がガジュマルなこと。
そして意外に知られていない食文化がたくさんある地域です。
そんな温州に、食べものや料理、食材に関する本だけを扱う『盘菜生書店』という書店があります。立地は昔ながらの食材市場を要する「双井坊」というエリア。店内の本で見た料理、レシピ、食材をすぐ買いに行くことができる書店なのです。
その『盘菜生書店』に、私が普段作っているZINE『ketchup.』(@ketchup_magazine_shanghai)を扱ってもらえることになった縁で、最近頻繁に温州に行くようになりました。
ということで今回は、そんな温州で出会った地元の味をご紹介したいと思います。

まずは盘菜(パンツァイ)。
『盘菜生書店』の店名にもなっている、冬の温州を代表する食材です。アブラナ科のカブの一種で、直径20cm、重さ500g以上という大きさ。
中国語ができる方なら、「カブは“芜菁(ウージン)“では?」「”盘菜“は皿にのった食材のことでは?」と思うかもしれません。その通りで、温州以外の中国人は「盘菜」をカブのことだとは思わないのだそう。
食べ方は炒め物、煮物などいろいろあるようですが、代表格は「盘菜生」。カブの甘酢漬けを甘口の酢醤油で食べる冷菜です。
『盘菜生書店』のオーナーさん曰く、盘菜生の切り方が本に似ているのでこの店名にしたとのことでした。飲食店ではなく、食材市場などの漬物店で購入できます。購入すると専用の酢醤油をつけてくれます。

そして、市場まわりで食べられる庶民の味といえば海鮮麺。お勧めのお店は「清江佬三鮮麺」です。
長崎ちゃんぽんに似た海鮮だしの白濁スープに、アサリ、カキ、イシモチ(丸ごと一匹)、エビなどがたっぷり入って30元前後という安さ。海鮮の量と麺の量が同じくらいのボリュームです。
こういうお店が、ローカル市場の片隅や住宅街にひっそり佇んでいるのが温州の魅力の一つかも。

「観光なので、温州の味を一か所でいろいろ味わいたい」という方には「老温州」がお勧め。
店内の巨大オープンキッチンで、食材を見ながらオーダーするシステムの温州料理店です。

温州らしい個人的なお勧めは「血蛤(シュエハー)」。
貝に当たったことがある方、リスクを避けたい方、血が苦手な方は頼まない方がいいかもですが、貝の旨みを凝縮したような風味は貝好きならハマると思います。
特殊な開け方(ペンチで貝の後ろを開ける)、食べあとのお皿の血などもインパクト大。貝は店員さんが一つずつ開けてくれます。
※以下、閲覧やや注意。




肉料理のお勧めは「東坡元宝肉(ドンポーユエンバオロウ)」。
温州を含む浙江省全体で食べられている料理だそう。同じ浙江省の杭州の料理「東坡肉」の風味で、豚のヒザを軟骨ごと煮込んだ料理です。甘辛風味とヒザ軟骨の食感が絶品。ハズさない一皿だと思います。

最後は温州のお馴染みのスープ「温州魚丸湯(ウェンジョウユーワンタン)」。
魚の粗いすり身で作った、すいとんのような魚のつみれを酸味のあるスープで煮込んだもの。白酢のすっきりした酸味がクセになります。「老温州」の魚丸湯は、口コミアプリ「大衆点評」によると温州で第一位の人気だそうです。

なかなか「行ったことがある」という日本人に出会わない温州ですが、料理や出会う人、街並みはとても日本人好みな気がします。
『盘菜生書店』は日本の雑誌やZINEの扱いも多く、今年も日本人イラストレーターの個展を企画しているとのこと。ここがハブになって、日本の本好き、カルチャー好きがもっと温州に遊びにくればいいのにな、と思っています。その際はぜひ、温州の特殊な食文化にも触れてみてください。
(萩原晶子)
店舗情報
盘菜生書店 ※食と食材の書店。盘菜を売る市場に隣接

温州市温州鹿城区学院西路55号学院后巷18号
10:00-20:00
清江佬三鮮麺

温州市温州鹿城区民航路蒲鞋市新村4棟101室
8:00-23:00
老温州

温州市温州鹿城区江濱西路395号
11:00-13:30 16:30-21:00
Writer
記事を書いてくれた人


