淡路町「松記鶏飯」のホーカー気分で味わう「シンガポール中華」

淡路町「松記鶏飯」のホーカー気分で味わう「シンガポール中華」

東京ディープチャイナでも度々お伝えしている東南アジアの中華料理を主とする「南洋中華」。世界各地へ移住した中国人たちは、その土地に根付き、その土地ならではの食文化を育んできました。

今回は、シンガポールの「南洋中華」第2弾!

海南島からシンガポールに移住した中国人によって現地に広めた海南鶏飯や潮州スタイルの肉骨茶など、シンガポールならではの名物料理を提供する「松記鶏飯」(東京・千代田区)を訪れました。

まずは、今回ご紹介するシンガポールの南洋中華がどのような場所で食べられているか現地の様子を少しご紹介します。

屋台料理がずらりと並ぶ庶民の台所「ホーカーセンター」

シンガポールの街並み

シンガポールは、中国系、マレー系、インド系などの民族が生活する多民族国家です。それぞれの民族が拠点とするエリアはありますが、街を歩けばどこでも中国料理をベースとしたシンガポール料理を食べることができます。

屋台の集合施設ホーカーセンター

外食文化のシンガポールで、庶民の台所といえる場所が、屋台の集合施設「ホーカーセンター」です。東京23区と同じくらいの国土に、110以上もの施設があります。

シンガポールの基盤となる料理は主に中国の南方からやってきた人たち。シンガポールの公用語のひとつは中国語(北京語)ですが、看板やメニュー表をみると繁体字が多く、簡体字と混在しているのが興味深いです。潮州系、福建系、客家系、広東系などの料理ストール(屋台)がずらりと並びます。

ひとつの料理に特化した専門店が多く、ドリンク専門店もあるため、食べたい料理をそれぞれの店で購入して、自由に使用できる共有のテーブルで食べるスタイルです。家族連れでも一人でも利用しやすく、写真付きのメニューも多いので、旅行者でも指差しすれば気軽に利用できますよ。

ホーカー気分で味わう「松記鶏飯」

オフィスビルが立ち並ぶ千代田区神田司町。都営新宿線小川町駅や丸の内線淡路町駅からもすぐの立地に、2013年9月にオープンした「松記鶏飯(ソンキージーファン)」は、近隣のビジネスマンをはじめ、シンガポール好きな人たちを魅了する東京のシンガポールレストランをけん引する店のひとつです。

ローカル食堂のようなノスタルジックな雰囲気を醸し出す店内

店内は、ノスタルジックな雰囲気を醸し出すローカル食堂のような感じ。シンガポールでよく見る料理名の看板がいくつも掲げられ、植物や鳥などをモチーフにした「プラナカンタイル」と呼ばれるタイルがかわいらしいアクセントになっています。

代表の松本裕介さん

店を取り仕切る代表の松本裕介さんは、上海をスタートしてアジア各国を旅した経験から、都内にあるシンガポールレストランに勤務。マネージメントを勉強し、開業されました。「アジアの食の豊かさ、食の可能性を感じて、各国で食べ歩いた経験と自分の舌を信じて、シンガポール料理を食べてもらいたいと思ったんですよね」と話す松本さん。

このサイトで紹介する店のシェフやスタッフは中国人がほとんどですよね。他のレストランでも日本に住む外国人が腕を振るう場合が多いですが、実は日本でシンガポール人がシェフや店主として営む店は片手で数えられるほどごくわずか。だからこそ、「日本人がシンガポールの味をしっかり日本で伝えないといけない宿命的なものがある」と私は思っているので、本当にありがたいです。

お店で提供している料理の器もシンガポールで仕入れたものが多く、ホーカーでおなじみのカラフルなメラミン食器や縁起の良い鶏柄の食器は欠かせないアイテムです。食器からもテンションが上がりますよ。

海南鶏飯(ハイナンジーファン)

まずは、店名にもなっている「海南鶏飯(ハイナンジーファン)」。もう、この料理なしでは南洋中華は語れません。海南島出身の中国人が広めたこの料理。茹でた丸鶏をカットして、茹で汁で炊いたごはん一緒に食べる名コンビです。

同店では一枚肉を使っていますが、季節ごとに変わる気温や湿度などを考慮し、その時々で鶏肉の銘柄を変えたりして、通年同じ質や味わいをキープしています。

海南鶏飯に欠かせないチリソース、ジンジャーソース、ダークソイソースをかけて食べる

海南鶏飯に欠かせないチリソース、ジンジャーソース、ダークソイソース(甘い中国黒醤油)を鶏肉やごはんにかけて食べれば、口の中でごはんがほろりと崩れ、しっとりと柔らかい鶏肉がソースと共に素晴らしいハーモニーを奏でます。

スープ料理の代表格「肉骨茶」

続いては、スープ料理の代表格「肉骨茶」。福建語読みで「バクテー」といいますが、料理は潮州スタイルのニンニクや胡椒を効かせた豚肉のスペアリブ入りスープです。この料理のルーツは隣国のマレーシアにあって、その昔マレーシアの一部だったシンガポールにも伝わりました。マレーシアでは福建スタイルのバクテーが食べられます。

イギリスの植民地時代、イギリス人が好まなかった骨付き肉を漢方で煮出してスープにしたといわれているので、「肉骨茶」という字からも料理の意味がお分かりいただけると思います。限られた食材で作られた労働者の活力源となった料理です。

スープはそのまま飲んで、スペアリブは唐辛子入りのダークソイソースにつけて食べるのがおすすめ

スープはそのまま飲んで、スペアリブは唐辛子入りのダークソイソースにつけて食べるのがおすすめの食べ方です。スープに揚げパンの油條(ユーティアオ)を入れたり、ごはんを入れたりして食べてもおいしいですよ。

夜にはアルコールを楽しむ人も多いことから、ディナータイムにはニンニクや胡椒を効かせて濃い目の味付けに。逆にランチタイムはあっさり目の肉骨茶が楽しめるとのこと。常連さんはその味の違いに気づいたそうで、これは食べ比べしてみなくては! ですね。

ラクサ(叻沙)

麺料理も種類豊富なシンガポール。なかでも伝統的な麺料理といえば「ラクサ(叻沙)」です。ココナッツミルクをベースとしたエビの風味たっぷりな麺で、同店のラクサは、干しエビやレモングラスなどのスパイスやハーブをいかした自家製のラクサペーストを使用。ツルツルとした食感のよい米粉麺を使うことで、濃厚なスープにうまく絡んでいます。ここに自家製のサンバルソース(チリペースト)で辛みを加えたら最高です。

ラクサ(叻沙)

ココナッツミルクたっぷりで南国気分満載なこの料理ですが、ニョニャ料理の代表格でもあります。というのも、シンガポールにはプラナカンと呼ばれる中国系移民の子孫が多く、女性のことをニョニャということから中国料理とマレー料理を融合させて生まれたニョニャ料理が数多くあるのです。

ニョニャから受け継いだ「おふくろの味」的なシンガポールの南洋中華ですが、現地の食べ方にはないスープにごはんを入れて、日本式に〆るのをおすすめします。

キャロットケーキ

この料理の名前は「キャロットケーキ」。スイーツのニンジンケーキのことではなく、大根餅の卵炒め( 菜頭粿)のことです。すりおろしたダイコンに干しエビ、中国ソーセージを加えて米粉で蒸したクエ(粿)がクニュクニュとおもしろい食感を生み出します。

さっぱりとした味なので、サンバルソースをつけて食べると、辛味がアクセントになってまた美味。ラクサにもサンバルソースは使われていますが、同店では料理によってサンバルソースも作り分けるというこだわりです。この辛みがアルコールにもピッタリなのです。

大根餅といえば、広東料理の点心でおなじみの料理ですね。潮州人が作るキャロットケーキは、同店のように見た目が「白い」ホワイトタイプと、ダークソイソースで味付けした見た目が「黒い」ブラックタイプがあり、ホーカーでも人気を二分しています。

松本さんはシェフやスタッフと一緒に何度もシンガポールを訪れ、現地の味を舌に叩き込んでメニューのブラッシュアップや、期間限定でシンガポールフェアを開催したりして楽しませてくれます。

現地のコロナ体制の入国緩和を受け、この6月に久々にシンガポールに行かれた松本さん、「久しぶりだったこともあり、勢い余って食べ過ぎてしまいましたが、今回も様々な食を探し求め、食べたものから数品ピックアップしてフェアーを開催することができました」。

ということで、9月から始まったシンガポールフェアでは、汕頭地方が発祥といわれる潮州料理で、豚足や豚舌のゼリー寄せである「ポークジェリー」や米粉麺と卵麺の2種類を混ぜて作る炒め麵料理「チャークゥエイティアオ」などが楽しめます。※11月末までを予定。

いかがだったでしょう。南国らしいシンガポールの味満載の中華!ぜひお店に足を運んでみてくださいね。あっ、機会があったらぜひシンガポールにも(笑)

店舗情報

松記鶏飯

千代田区神田司町2-15-1
パレヤソジマ102
03-5577-6883

https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13160030/

Writer
記事を書いてくれた人

伊能 すみ子

プロフィール

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