中国の朝ごはんとハルビンの味を楽しむ 友誼食府-その4東北料理-

中国の朝ごはんの店

池袋西口(北)にある中華フードコート「友誼食府」の4回目は、中国の朝ごはんの店から始めましょう。
エレベーターを出て、すぐ右手にある「友誼早餐(ゆうぎそうさん)」は、中国語の朝ごはんを意味する「早餐(ザオツァン)」の店です。
中国の朝ごはんといったら何が思い浮かぶでしょうか?
お粥がそうですね。

そして、中国の細長い揚げパン「油条(ヨウティアオ)」と豆乳はご存知ではないでしょうか。

温めた豆乳にこうして油条をつけたら、ほんのりした甘さが染みて、フワフワのパン生地が口の中で溶けていきます。ちなみに中国語で豆乳は「豆浆(ドウジャン)」といいます。

もともと油条は中国南方の朝ごはんでしたが、今日では中国全土で普通に食べられています。一方、この小麦粉でつくったネギ入り蒸しパンは「饅頭/馒头(マントウ)」の一種で花巻(ホワジュアン)といいます。中にあんが入っていません。

饅頭は北方の食べ物です。基本的に味がついていないので、(この店にはないですが)揚げピーナッツ、豆腐脳(ドウフナオ)と呼ばれる醤油ベースのあんかけ豆腐スープと一緒に食べたりします。要するに、饅頭はご飯代わりというわけです。あんが入っているものは「包子(バオズ)」といいます。

この店には、中国のコンビニでよく売っている醤油の煮タマゴである「茶葉蛋(チャーイェダン)がありました。油条や饅頭に味がついていないので、こういう濃い味と一緒に朝ご飯にするのです。

今回はもう一軒紹介します。四川料理の「香辣妹子(シャンラーメイズ)」の奥にある「哈尔滨熟食(ハルビンショウシー)」です。

この店は、中国最北に位置する黒龍江省のハルビン(哈尔滨)の小吃(シャオチー)を出します。

ハルビンは20世紀初頭、シベリア横断鉄道の建設のためにロシア人がつくった町です。市内にはたくさんの教会が建てられています。
この写真は、ソフィア大聖堂と呼ばれるロシア正教の教会で、タマネギ型のかわいい屋根が特徴です。

冬にはマイナス20度以下になるハルビンは氷祭りが有名です。

この店のメニューの中から主な料理を説明しましょう。

左から「哈尔滨红肠/ハルビン紅腸(ハルビンホンチャン)」というのは、ハルビン特産の豚の腸詰です。
ハルビンにはロシア商人が1900年に創業した「秋林公司」という百貨店があり、当時からこの腸詰はつくられています。

かなり太いので、切って食べます。
ビールのつまみという感じです。

「腊肠/腊腸(ラーチャン)」は燻製肉のソーセージ。
トウガラシの辣椒(ラージャオ)や花椒(ホワジャオ=中華山椒)などのスパイスと塩漬けした肉を天日乾燥し、燻製にした中華風サラミソーセージです。

「粉腸(フェンチャン)」も腸詰の一種。
それぞれ味が違うので、食べ比べてみても面白いでしょう。全体に塩気が強いのが特徴です。

次のメニューに行きましょう。

左から「葱油餅(ツォンヨウビン)」。
これは台湾料理の店「匯豐齋(えほうさい)」にもありました。ネギ入りパンケーキです。

台湾の葱油餅は半熟タマゴ入りでしたが、こちらは小麦粉を薄く焼いた餅(ビン)オンリーで、香ばしくて素朴な味わいです。

その次は「烤冷面(カオリャンメン)」。
「焼き冷麺」を意味する中国東北地方の小吃です。冷麺を焼くってどういうこと? そう思うかもしれません。平たいカット前の冷麺の生地(そば粉でできています)をタマゴと一緒に焼いて、肉や野菜を包み込んだもの。
甘辛ソースをかけて食べます。

パクチーをかけ、食べやすい大きさにカットされて出てきます。
冷麺は韓国料理として有名であるように、もともと朝鮮系の料理なのですが、中国東北地方には多くの朝鮮系の人たちが住んでいて、彼らが創案した小吃なのです。いまでは中国全土の夜市で食べられます。

「土豆絲巻餅(トゥドウシージュアンビン)」は、炒めた細切りジャガイモを小麦粉の皮で包んだクレープのような小吃です。中国ではジャガイモの細切り炒めをよく食べます。

「手工水餃(ショウゴンシュイジャオ)」はこの店の自家製水餃子です。隣のスーパー(友誼商店)では、加工食品として冷凍水餃子が大きな袋に入って売られていますが、この店は自家製をアピールしています。

「手抓餅(ショウジュアビン)」は、同じく小麦粉の中華風クレープですが、中にソーセージや野菜が入っています。

次のメニューです。

「豆沙餅(ドウシアビン)」は福建省の小吃で、パイ生地に甘いあんの入ったお菓子です。

「紅糖餅(ホンタンビン)」は黒糖味の中華風パイ。

「炸串(ザーツァン)」は中華風串揚げで、肉やインゲン、モチなどを串にさして揚げたもの。

「烤羊肉串(カオヤンロウツァン)」は羊の串焼き。牛肉もあるようです。

次のメニューです。

「松仁小肚(ソンレンシャオドゥ)」は、ハルビンにある老舗東北料理店「正陽楼」で創案された肉製品で、腸ではなく、豚の胃に豚肉などの材料を詰めたものです。松の実で香りをつけた一品です。

「酱鸡爪/醤鶏爪(ジャンジージュア)」は、通称「モミジ」こと、鶏の足の爪の醤油煮。コラーゲンたっぷりです。 

「蚝油蒸鳳爪(ハオヨウジェンフェンザー)」は、鶏の爪のオイスターソース蒸し。濃い甘辛の味つけです。

「焼鶏(シャオジー)」は中華風ローストチキン。

最後のメニューはたくさんあります。

左上から「紫菜豆腐砂鍋(ジーツァイドウフシャーグオ)」で、豆腐と海苔の入ったあっさりスープ。

「牛肉番茄砂鍋(ニウロウファンチエシャグオ)」は、牛バラ肉入りトマトスープです。

「坛肉(タンロウ)」は東北風豚の角煮。

「冷麺(ロンミエン)」は中国風の冷麺。

「東北大飯包(ドンベイダーファンバオ)」は、東北料理のひとつで、ごはんに肉やタマゴを入れて混ぜたものをレタスなどにくるんで食べるものです。

「東北大碴粥(ドンベイダーチャージョウ)」はトウモロコシのお粥。

「帯湯水餃(ダイタンシュイジャオ)」はスープ入り水餃子。

「珍珠湯(ジェンジュータン)」は、うどんを短く刻んで入れたスープ。

「東北大垃皮(ドンベイダーラーピー)」は、ジャガイモ粉の平たい春雨入りサラダで、東北料理の定番です。甘辛ソースをかけて食べます。

「猪皮冻(ジューピードン)」は、豚の皮を煮込んでつくった煮こごりで、こちらもコラーゲンたっぷりの冷菜です。

「烩酸菜(ホイスアンツァイ)」は、東北名物の発酵白菜の「酸菜(スアンツァイ)」と豚肉を煮た料理です。

「猪耳雑拌黄瓜(ジュウアザーバンホアングア)」は、豚耳とキュウリのトウガラシ和え。

「拍黄瓜(パイホアングア)」は、東北料理の前菜の定番、キュウリのたたき和え。

「紅油猪肚絲(ホンヨウジュウドゥスー)」は、豚肉の胃の細切りをラー油とトウガラシで和えたもの。

ここでは東北地方のディープな日常食が味わえます。ぜひ試してみてください。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

友誼食府

豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル 4F

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