4月15日に東急東横線の学芸大学駅高架下の学大市場にオープンした「好香味坊(はおしゃんあじぼう)」は、「ガチ中華」界で人気の「味坊」の新店舗とあって、中華好きの間で話題になっています。
私は中村編集長といっしょにオープン前日のお披露目会で、味坊オーナーの梁宝璋(りょう・ほうしょう)さんにお話を伺いました。
味坊は2000年に神田でオープンした中国東北料理の小さなお店がスタートで、今や東北料理に加えて様々なジャンルに特化した本物のおいしい中華料理のお店を展開しています。
味坊集団のお店については東京ディープチャイナで過去にも紹介してきたので、そちらも読んでみてください。
新店舗は中国の「小吃店」のイメージ
学芸大駅の「好香味坊」は味坊集団のお店の中で最も小さな13席の店舗です。中国の路地裏にある「小吃店」と言われる小さな食堂をイメージして作ったそうです。
テイクアウトとデリバリーがメインということで、席は予約不可。でも、小さなお店でもテイクアウトとデリバリーがメインという特徴を生かして、メニューは豊富です。広東料理の点心を中心に、麺類やどんぶり、お粥もあります。広州や香港で食べたまんまのあの味が、気軽に食べられるというわけです。ひとりで行って1品だけ食べることだってできちゃいます。
どうして広東?
古くからの味坊ファンにとっては、「東北料理と羊の味坊がなぜ、広東?」という疑問があるかも。味坊集団では2020年からセントラルキッチンで作った料理を通販でも扱っています。そこで本場広東出身の点心師・何偉昌(か・いしょう)さんを中心に本格点心やロースト料理作りに取り組んでいるのだそうです。
そして2021年9月に代々木八幡駅前に広東飲茶専門店「宝味八萬」をオープンしました。
広東飲茶の「宝味八萬」についてはこちら。
こうして作った料理が味坊のお店や通販だけでなく、「好香味坊」で気軽に1品からテイクアウトもできるようになったというわけです。注文はメニューを見ても、写真を指差してもいいし、スマホからQRコードを読んでもOK。この辺も現代の中華食堂らしいです。
オーガニック野菜の自社農場について、梁さんが話してくれました。
味坊のおいしさのひみつはもうひとつ、自社農場で作るオーガニック野菜を収穫してすぐにセントラルキッチンと各店舗に運んでいることです。
「自分たちで野菜を作り始めたのは4年前から。中国の本場の料理を出そうと思っても、中華用の野菜は日本でそんなに流通していない。だったら作ろうと始めた。化学肥料を使わない自然農法なんて昔は普通のことだったでしょ。でもやってみると結構大変で、最初は失敗ばかり。素人だからね。
でも、先輩に教えてもらったり、仲間と勉強したりして、今は使いきれないくらい収穫できる。おいしいし、うまくいくと結構はまる。楽しいよ。できた野菜は朝、農場に採りに行って店に届ける。食材の鮮度も大事だから。」なるほど、このこだわりがあってのおいしさなんですね。
「好香味坊」のおすすめメニューは
「好香味坊」のカウンターの中にいる西安出身のシェフ潘(はん)さんのおすすめは、「広東焼鴨(広東風鴨の釜焼き)」と「蜜汁叉焼(釜焼きチャーシュー)」。
どちらも広東独特の甘い味で、日本人も好きなはず。このチャーシューが入った「叉焼包(チャーシュー饅)」は180円。肉まんとは別物の、真ん中の隙間から中のチャーシューがちょっと見える点心の一品です。広東点心独特のあのチャーシュー饅がこんなに気軽に食べられるのは感激です。
本格的な蜜汁叉焼(窯焼きチャーシュー)もおつまみに最適。
潘さんは西安出身の料理人。広東料理はもちろんですが、本来は北の料理が得意だそう。
「好香味坊」のオリジナルメニューのひとつ、ご飯ものの「江米肉(豚肉ともち米の竹筒蒸し)」も人気でした。モチモチした味付けご飯を食べていくと最後に底にホクホクのジャガイモが入っています。イートインでは本物の竹筒で出てきます。
これは広東焼鴨(広東風鴨の窯焼き)。宝味八幡でも定番メニューです。
3つの点心は、手前から「広東焼売(海鮮シュウマイ)」、右は「蝦餃(エビ蒸し餃子)」、そして上が緑っぽいのは「春菊餃(春菊蒸し餃子)」です。これも新メニューだそう。
このほか、「蝦肉餛飩(エビワンタン)」とか、「皮蛋咸肉粥(ピータンのお粥)」とか、現地で食べた味に飢えている今だからこそ、普通のメニューがちゃんとあるのがうれしいです。「好香炒麺(素焼きそば)」や「担担麺(汁なしタンタン麺)」「叉焼飯(窯焼きチャーシューメシ)」「焼鴨飯(鴨の窯焼き丼)」「牛雑飯(牛モツ煮丼)」など、ご飯ものも豊富に揃っています。
味坊だから、羊ももちろんあります
「羊肉小串(ラムの串焼き)」はもちろん、羊好きにはたまらない「羊肉香菜水餃(ラム肉とパクチーの水餃子)」もおすすめです。
飲み物にもこだわりが
ふらっと立ち寄ってちょっと飲める生ビールやハイボールのほかに、私はこれが広東風の甘めの料理にも羊肉にも合うと思う「ジャパニーズクラフトジン翠」や、味坊の御徒町店舗「老酒舗」で定評のある「甕紹興酒」も自然派ワインもここで飲めます。
ワインはボトル売りもあるのでテイクアウトの機会にどうぞ。ノンアルコールは烏龍茶と「王老吉(ワンラオジー)」。王老吉は廣東文化に欠かせない漢方茶です。
これがテイクアウト専門のメニューです。
最後に、この店のもうひとりのスタッフであるアスミタさんを紹介しましょう。
彼女は、味坊グループ初のネパール人スタッフです。漢字がいっぱいの手書きメニューも頑張って書いています。来日4年目だそうです。
通販でも味坊こだわりの広東点心が注文できます
お店に行くのはちょっと遠いという方は、味坊の通販もどうぞ。
店舗情報
好香味坊
目黒区鷹番3-2-1 学大市場
03-4400-8270
営業時間11:00~23:00/(ラストオーダー22:30)