【南洋中華】吉祥寺「アジア食堂ココナッツ」の辛くて甘酸っぱい「タイ中華」

【南洋中華】吉祥寺「アジア食堂ココナッツ」の辛くて甘酸っぱい「タイ中華」

東京ディープチャイナでも度々お伝えしている東南アジアの中華料理を主とする「南洋中華」。世界各地へ移住した中国人たちは、その土地に根付き、その土地ならではの食文化を育んできました。

以前、お伝えしたシンガポールの南洋中華に続いて、今回はタイを取り上げます。

フレッシュ唐辛子やハーブを使うタイ中華

まずは、タイの位置を確認しておきましょう。

タイの位置

中国南部の雲南省に接する東南アジアの国ベトナム、ミャンマー、ラオスを挟んでタイがあります。

バンコクのチャイタウン
バンコクのチャイタウン

広東や福建、潮州、海南といった中国南部からの移民人口が一気に増えたのが、1800年代後半。首都バンコクにあるチャイナタウンが形成されたのも同じ頃です。屋台をはじめ、本格的な中国レストランがたくさんあり、私も立派なフカヒレを堪能したのが思い出されます。

たっぷりのハーブ

さて、タイ中華というと、中国由来の食材にタイ特有の調味料を使った中国由来の調理法を用いた料理が多いと感じます。気候の違いから、中国の乾燥した唐辛子や漢方食材に対して、タイは生のフレッシュな唐辛子やハーブをたっぷり使うというのもポイントのひとつでしょう。

タイの味つけは、ひとつの料理に対して、辛み、甘み、酸っぱさがそれぞれあり、さらにハーブの爽やかな香りやうま味が加わって、コクの広がりを感じられる料理ばかりです。

では、さっそくタイ中華をご紹介しましょう。

中華麺で食べる「カオソーイ」

日本でも近年、人気急上昇しているカオソーイ(カレーらーめん)は、タイ北部にあるチェンマイの名物料理です。元々は中国からミャンマー、ラオス、さらに北タイエリアに伝わった料理ですが、その国々で使う麺や調理法が全然違うのがおもしろいです。

カオソーイ
カオソーイ

唐辛子や爽やかな香りのレモングラス、生姜のガランガル、色付けのウコンなどをつぶしたカレーペーストをベースにしたココナッツミルクのスープ麺で、ミャンマーやラオスが米粉麺を使うのに対して、タイは中華麺を使うのが特徴。

カオソーイを直訳すると「ごはんの千切り」となるので、もしかしたら米粉麺のことを指しているのかもしれません。ココナッツミルクのまろやかさに辛みや爽やかさが加わって、病みつきになる味です。

中華麺のカオソーイ
中華麺のカオソーイ

雲南省のイスラム教徒である回族から伝わったといわれ、戒律によってカオソーイの具材に豚肉は使わず、鶏肉(牛肉のことも)が一般的です。さらに、揚げた麺をトッピングするので、2つの異なる食感の麺が楽しめます。

また、赤タマネギ、高菜漬け、ライムが定番の付け合わせで味変を楽しめます。これが加わることで、「カオソーイの完成形」になる、といっても過言ではないので、ぜひお試しを。

叉焼のせのぶっかけ飯「カオムーデーン」

カオムーデーン
カオムーデーン

叉焼はタイでもよく食べられる料理のひとつです。見るからに広東料理にルーツがあると思われる「カオムーデーン」。食欲をそそられる見た目に、私はわざわざ専門店を目指して行ったほどです。

唐辛子カオムーデーン
唐辛子カオムーデーン

叉焼のせごはんに甘いソースがかかっているのがポイントです。ソースには広東料理でも使われる海鮮醤やオイスターソース、八角や酢、砂糖などで味付けされていて、お店によって様々なレシピがあります。

料理名は、カオ=ごはん、ムー=豚肉、デーン=赤、を意味していて、広東料理の紅糟で表面を赤くする叉焼のようにタイの叉焼も赤いです。そこにカリカリに仕上げた脆皮焼肉(クリスピーポーク)や香腸(中国ソーセージ)、塩卵をトッピングしたりします。

ほんのりと酸味はあるものの甘味が強い料理なので、私が食べた店では酢漬けの唐辛子を加えたりして辛みを加える人を多くみかけました。

有名中華レストランの名物「プーパポンカリー」

エビやイカなどシーフードを使った料理も多いタイ。その中に、カニをメインにした炒め物があります。それは「プーパッポンカリー(カニと卵のカレー炒め」。日本ではタイカレーのひとつとして提供する店が増えています。

プーパッポンカリー
プーパッポンカリー

プーパッポンカリー発祥の店である「ソンブーンシーフード」の創業者は汕頭出身の方で、中国とタイの特徴を融合させた料理を提供している50年以上の歴史がある店です。

スパイスの刺激的な味を卵でまろやかに仕上げていて食べやすくなっています。また、殻ごと食べられるソフトシェルクラブバージョンも人気です。シーフードの中でもカニはお高めなので、レストランで食べるのが一般的。屋台ではカニの入っていないエビや鶏肉入りのパッポンカリーが食べられます。

東京で食べられる「タイ中華」おすすめ店「アジア食堂ココナッツ」

タイでは、夜になると屋台営業をはじめるナイトマーケット巡りが楽しみのひとつでもあるのですが、お店を見てみるとカラフルな電飾や小物で装飾された屋台をみることがあります。

ここからは、そんなタイの屋台にいるような雰囲気の素敵なお店で食べられる「タイ中華」のご紹介です。

東京・武蔵野市吉祥寺本町にある「アジア食堂ココナッツ」は、2010年にオープン。吉祥寺駅からすぐのハーモニカ横丁にあります。ここは酒場店舗が密集していて、路地裏散策するだけでも楽しいエリアです。

店内中を埋め尽くすカラフルなタイ雑貨やお菓子、現地の風景写真

お店は外観もにぎやかですが、中に入るとさらにカラフルなタイ雑貨やお菓子、現地の風景写真が店内中を埋め尽くしていて、一気にタイへトリップできる空間になっています。

小林さん親子
小林さん親子

キッチンを仕切るのは、タイ・カンチャナブリー県出身の小林スパワディーさん。娘で代表のポンティップさんと親子で店に立っています。

オープン当初は店名にもあるように、タイ料理とベトナム料理を提供する「アジア食堂」のような存在でしたが、ポンティップさんが経営に携わるようになった2018年頃から、ハーモニカ横丁の雰囲気に合わせたタイ酒場的な店へと変化していきました。

パッタイ
パッタイ

人気のタイ版焼きそば「パッタイ」は、「タイの炒め」を意味していて、タイ政府が「パッタイを国民食にする」と宣言した米粉麵料理です。タイでは麺の総称をクイティアオといい、潮州麵の「粿条(グオティアオ)」と発音が似ていることからも、南方から派生した麵だというのがお分かりかと思います。

パッタイ

パッタイには、干し海老、もやし、ニラといった具材に、椰子の樹液から作られたパームシュガーや酸味が特徴的なタマリンドの搾り汁、タイの魚醬であるナンプラーなどで味付けをしていて、タイならではのコクが口いっぱいに広がります。

現地では屋台の多くで提供され、パッタイ専門店もあります。また、薄焼き卵で包んだスペシャルバージョンのパッタイを提供する高級店もあったりして、まさに国民食といえる料理です。

ガパオ
ガパオ

中国料理と同様に炒めもののバリエーションが多いタイ料理の中でも人気なのが「ガパオ」です。日本では、ガパオ=挽き肉の炒め、と思われがちですが、実はハーブの一種である「ガパオ(ホーリーバジル)」を入れてこそが、ガパオと呼べる料理なのです。

タイでは挽き肉よりも食感の良い荒くカットした豚肉や鶏肉を使いますが、同店も同じで、オイスターソースやナンプラーなどで味付けして、たっぷりのガパオと鶏肉を一気に炒めていきます。唐辛子もたっぷり入った辛めな味付けがガパオの特徴です。おつまみとしてもおかずとしても人気なので、ビールやごはんがすすみます。

私が現地で食べたパッタイは油を多く使う印象があったのですが、同店のパッタイは油っぽさがなく、スパワディーさんは、「サラダ油もチリオイルも使うけれど、油は料理全体的に控えめにしています。たくさん使わなくても十分おいしい」とおっしゃいます。

アルコールメニュー
アルコールメニュー

東京でも錦糸町といったタイ人が多く行き来するエリアと違い、吉祥寺にはタイ人が少なく、来店のほとんどは日本人。とはいえ日本人向けの味付けにすることなく、しっかりタイの味を守って作られていて、「タイの味を日本人に知ってもらうにはぴったりの場所。タイのビールや焼酎、ウィスキーもたくさんあるので、料理と一緒に楽しんでほしいです」とポンティップさん。

メニューをみれば、20~40度のアルコール度数の焼酎やウィスキーが9種類も! これは白酒のように、タイアルコールの飲み比べも楽しそうですね。

おつまみメニュー
おつまみメニュー

アルコールに合うおつまみ系も増やしたといい、カオムーデーンのトッピングにもあった中国ソーセージ(サイウア)や海南島出身の中国人が東南アジア各地に広げた海南鶏飯(カオマンガイ)の茹で鶏、プーパッポンカリーもあるのでチェックしてみてください。

お店にいるだけで楽しくなって、ギラギラしているのに居心地がよくて、タイ中華を知るにはぴったりのお店なので、ぜひ訪れてみてくださいね。

店舗情報

アジア食堂ココナッツ

アジア食堂ココナッツ

武蔵野市吉祥寺本町1-1-9          080-6639-1179  

タイ酒場🍺ココナッツ🌴🇹🇭(@kichijoji_coconut) • Instagram

Writer
記事を書いてくれた人

伊能 すみ子

プロフィール

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