12月2日(土)、北千住に味坊グループの12店舗めとなる「酒仙坊」がオープンしました。
ぼくはその2日前のプレオープンの日にお店を訪ねました。北千住に行くのは久しぶりだし、自分にとっても久々の遠出です。
駅を降りると、味坊集団専務の林強さんに送ってもらった住所「足立区千住3-48」をGoogle MAPで確認しながら歩くと、渋い飲み屋が並ぶ「宿場町通り」が現れました。
そして見つけました。おなじみ梁さん手づくりの看板が目印です。
通りの向いは手もみラーメンの「福しん」で、お隣さんはあの北千住の有名老舗居酒屋「大はし」です。
毎回コンセプトを変えて店を出す味坊さんですが、この店はひとことでいえば、「せんべろガチ中華」だそうです。中国の大衆酒場「街辺小酒舗(町の小さな飲み屋)」を東京にそのまま持ち込んだような不思議スポットいえるでしょう。
日本の焼きとん屋に近い(でもメニューはガチ中華)中華飲み屋で、ラム肉やホルモン系などの炭火串焼きが1本100円から、甕入り紹興酒は1時間飲み放題1000円という驚きの安さです。とにかく安く飲める店です。御徒町の老酒舗のコンパクト版という感じでしょうか。こういう店を待っていました。
店内はこんな感じです。もともと本当に焼きとん屋さんだったそうで、それを居抜きで使っていて、のれんや手づくりメニューの看板など、細部に味坊テイストがうかがえます。席数は35席ほど。
では、さっそく「酒仙坊」のつまみメニューを紹介しましょう。
食事も楽しめますが、飲み中心の店なので、メニューは「揚げ物」「炭焼き」「小皿」「点心」「食事」、そして中華風煮物の「醤卤」に分かれます。
まず「炭焼き」からいきましょう。
これは「手羽先焼き」(120円)。手羽先といえば「世界の山ちゃん」を思い出しますが、あんなに甘いタレではなく、もちろん「ガチ中華」ならではのスパイスと風味がまぶされており、お酒に合います。
「豚タン串焼き」(100円)。レバーにも近い食感ですが、焼き具合や味つけが絶妙です。
「豚皮の串焼き」(100円)。プルプルしたコラーゲンでほどよい甘みがあります。
「ラム肉の串焼き」(190円)。味坊名物の定番で、他店と違い、肉の厚みがしっかりあって食べ応えがあります。
「干し豆腐の野菜巻き」(120円)。パクチーを干し豆腐で包んで串焼きにしたヘルシーメニューです。
「酒仙坊」にはいくつかの新メニューがありますが、その筆頭はこの「羊足の一本焼き」(410円)。豚足の羊版です。梁さんが特別に海外から仕入れた珍しい部位で、おそらく日本ではここでしか食べられなさそうです。
次は「小皿」。
まず「中華風枝豆」(310円)。ご存知の方も多いかもしれませんが、日本の枝豆のように茹でて塩をまぶすだけなく、中華スパイススープで枝豆を煮ます。
「揚げピーナッツ」(330円)と「干し豆腐の和え物」(390円)。ピーナッツも「ガチ中華」では薄皮付きで軽く上げて塩をまぶしますが、煮るバージョンもあります。おなじみの干し豆腐は繊細な味わいで、パクチーがちょこっとのってます。
味坊名物の「農園野菜スティック 炒め味噌付け」(550円)。自家製農園のとれたて日替わり野菜で、この日はキュウリ、ダイコン、白菜、小松菜でした。塩味の強い濃厚ミソは梁さんの故郷、中国東北地方の味です。
「自家製板春雨冷菜」(600円)。東北名物の平たい板春雨を野菜と酸っぱく合えたさっぱり冷菜です。
ほかにも、千切りでシャキシャキおいしい「じゃがいもの冷菜」(330円)や「広東風腸詰」(550円)、絶品で酒のつまみに最高な「ラムレバーの冷製」(390円)、林強さんの故郷の味「四川風田舎漬け物(四川泡菜)」(380円)などもあります。
もうひとつの看板メニューは中華風煮物の「醤卤(ジャンル―)」。ひとことでいうと、中華スパイスが利いた中国風おでんです。ニンニク味のたれをつけたり、そのままでもおいしいです。まさに中国の居酒屋ローカルフードです。
まず「豚のウデ」(400円)。豚ウデ肉はカタとも言われますが、前足の付け根のあたりの部位です。
「豚腸」(400円)。豚の腸の輪切りです。下は林強さんが送ってくれた仕込み中の写真。
「ハチノス」(650円)。いわゆる胃袋ですが、不気味な見ばえとは裏腹に、弾力のある歯応えがたまりません。
「醤卤盛り合わせ」(990円)。ホルモン系以外にもちくわや厚揚げ、干し豆腐など、いろいろ入っています。
「麻辣串セット」(500円)。四川の味で、最近では「串串香(ツァンツァンシャン)」などとも呼びます。この店では珍しい麻辣味のつまみです。
あとは「点心」「食事」「揚げ物」です。
まずは味坊特製「シン餃子」の世界。「本日の水餃子3個」「本日の焼き餃子3個」(300円)。具材は日替わりで、この日はニラタマとエビ入りでした。
食事は「本場汁無し担々麺」(990円)や新作の「豆板カレー飯」(990円)があります。
「街辺小酒舗(町の小さな飲み屋)」らしく、デザートといえるのは「黒胡麻団子」(150円)くらいです。
では、どんなお酒が飲めるのでしょう。
日本人のお客に合わせて、日本の焼酎や日本酒、サワー、ホッピー、ビール、ハイボールなどがありますが、味坊オリジナルでは、御徒町の「羊香味坊」などでおなじみの「羊香トマトハイ」(720円)や白酒の炭酸割の「白(バイ)ボール」(410円)などがあります。
とはいえ、ここは味坊です。白酒のラインナップはいろいろです。メニューでは「中国白酒(3種)飲み比べ」(330円)が楽しめます。
ぼくが訪ねた日は、オープン前の調理人やスタッフの「(営業)練習日」ということで、味坊グループの各店長や調理人、友人の中国オーナー、そして昔からの常連さんなどが集まりました。
開店祝いということもあり、白酒の輸入代理店の日和商事さんから「茅台迎賓酒」という珍しい白酒もふるまわれました。
そして、これが噂の「1時間飲み放題1000円の紹興酒」。かめの下に並ぶオレンジ色の砂時計が注文したテーブルに置かれ、時間を測ります。
最後に、この店のスタッフで看板娘、眼鏡が似合う周さんを紹介しましょう。
久しぶりに梁さんに会いましたが、相変わらず新しい出店計画やイベントの準備などで忙しそうでした。これからも味坊集団の躍進は続きそうです。
平日は11時からの営業で昼飲みもできます。こういう店が近所にあったらなあ。
(東京ディープチャイナ研究会・中村正人)
店舗情報
酒仙坊
足立区千住3-48
03-6812-0705