みなさん、こんにちは。東京ディープチャイナ研究生の植田美佳子です。
今回は研究会の中村さんに勧められ、いま中国の若者に大人気、高田馬場の「阿香米線(アーシャンミーシェン)」にやって来ました!
「米線(べいせん/ミーシェン)」と呼ばれる米粉100%の麺を使った、温かいスープ麺を提供しているお店です。米線の発祥地は中国雲南省で、鶏ガラや豚骨などをじっくり煮込んだ塩味の薄いスープに、肉やキノコ、野菜などのたくさんの具を入れたライスヌードルです。
大学終わりに待ち合わせをし、同じく研究生の江上ふくさんと林正羽くんの3人で食べに行きました。
初めて食べる米線に期待をふくらませながらお店に向かって歩いていくと、目の前に赤く光るネオンの看板が現れました。とっても中国らしいですね。
そして2階にあるお店へ続く階段には、米線を虹に見立てたというカラフルでポップなデザインが施されています。私はこの階段を上るとき、虹の上を歩いているような感覚を想像して、なんだかワクワクしました。
さて、店に入ると日本の和食チェーンのような清潔感のある、見慣れた雰囲気で少し安心しました。この感じなら、初めてでも気軽に入りやすいのではないかと思います。とはいえ、大きな壁絵やネオンの飾りなど、じっくり見てみると面白い発見があります。
店内を見渡してみると、他のお客さんは中国の若い男女のグループ1組のみでした。普段は若い女性が多いそうです。
奥のテーブル席に座り、メニューを眺めていると、店員さんがお冷を持ってきてくれました。しばらく何にするか悩んだ末、それぞれ好きな米線と、デザートを1品頼みました。メニューはすべて日本語で書かれており、写真も載っているのでメニュー選びで困ることはないと思います。
私たちの注文を取ってくれた40代の店員さんは、上海近郊の町から日本に来て13年になるそうで、日本語での質問にも笑顔で快く答えてくれました。キッチンにもうひとりいた方は留学生のようで、話すときは少々カタコトでしたが日本語は問題なく通じました。
ここで働くスタッフさんたちは全員中国の方ですが、簡単な日本語でのやり取りに支障はありませんので、中国語がわからない方でも安心です。
接客のときは日本語だけど、スタッフ同士では中国語を使うので、メニューをキッチンに通すときなどに中国語が聞こえてきます。それがおもしろいなと感じました。
では、まず私が頼んだものをご紹介したいと思います!
「土鍋米線1,188円(税込)」です。
なんと、麺と具材とスープが分かれて出てきました! 具材が小さい器にひとつひとつ丁寧に盛られていて、とても豪華な感じがします。では一体どんな具材があるのか見ていきたいと思います。具材は全部で14種類あります。
写真左上から
- オクラ
- 花型のにんじん
- 揚げ豚
- 中国の固い歯ごたえのある湯葉
- 中国のソーセージを薄くスライスしたもの
- 牛肉
- キャベツ
- 揚げ大豆
- 高菜
- うずらのタマゴ
- ニラ
- スイートコーン
- むきエビ
- 刻みネギ
日本っぽいものもあれば、いくつか馴染みのない食材もあったのではないでしょうか。基本、このセットで具材は変更できないのですが、もし食べられるか不安なものがあった場合、のちほど自分で具材を入れる際に、これはまだ入れないでおこう、などと好みに合わせて調整できますので、心配な方はそうすればいいと思います。
スープは「トマトスープ(辛くない)」「豚鶏ダブルスープ(辛くない)」「キムチスープ(少し辛い)」「麻辣旨辛スープ(辛い)」の4種類から選ぶことができます。私は人気No.1のトマトスープにしました!
この土鍋米線を食べるときに、絶対守らなければいけないのが、熱々のスープが運ばれてきたら真っ先に牛肉とうずらのタマゴをスープの中に入れることです。なぜなら、コンロの上にのっておらず、土鍋だけなのでスープがだんだん冷めてしまうからです。鶏のタマゴではなく、小さいうずらのタマゴである理由もここにあります。
でも安心してください、生ものはこの2品くらいで、あとはそのままでも食べられるものか、エビなど火を通してあるものになっています。牛肉とうずらのタマゴはなにがなんでも最初に火を通すこと、これだけ覚えていてくださいね。
あとは急がずゆっくり残りのお好きな具材を入れ、最後に麺を入れて完成です! 麺にはもうすでに茹で上がった状態で提供されるので、具材に火が通ったら食べごろです。
さあ、ドキドキの初米線の味は…? まず、スープからいただきます。トマトの酸味と甘みのバランスが絶妙で、味つけも濃くなく、さっぱりしていて、どんどん飲めちゃう味でした。日本のトマト味のものはケチャップのような甘みが特徴かと思うのですが、これはトマトそのものの味で、ちょうど良い酸っぱさが食欲をそそられ、おいしかったです!
次に麺を食べてみると、今まで食べたことのない不思議な食感でした。米でできた麺なので通常のラーメンの麺みたいなコシはなく、噛み切るときに気持ちよくバツっと切れます。それなのに、口の中で噛むともちもちした弾力(お餅を想像してみてください)があり、噛む回数がそれなりに必要になるぶん、満足感が得られます。
麺の形状としてはパスタに近く、表面がツルツルしているのでスープとあまり絡みません。なので、麺とスープを一緒に食べるようにしたり、交互に口に運んだりすると良いかもしれません。ラーメンのように重くなく、味があっさりしているので飽きることなく食べられるので、気がついたら完食してました(笑)。
さて、次に江上ふくさんが選んだ「旨辛スープ麻辣牛カルビ968円(税込)」はどんなものでしょうか⁉
この写真で麺の感じがよくわかると思います。長くてつるつるしていて、太さ的にもパスタに似ていませんか?
スープを少しもらって味見させてもらったところ、痺れる辛さのなかにもしっかりと旨みがあり、中国伝統の香辛料もしっかりと効いていて、辛いけど食べたい!と、やみつきになる味でした。
しかし、最初は良くても、だんだん食べ進めていくうちに辛さは蓄積されるので、やはり辛いものが得意な方でないと、最後までおいしく食べるのは厳しいかなとも感じました。あくまで個人の感想なので、参考程度に聞いていただけるとうれしいです。チャレンジしてみたい方はぜひ! この旨辛スープ、おいしいので試してみてくださいね。辛いもの好きなふくさんは「おいしかった!」と満足していました。
この米線のトッピングは
- 特選牛カルビ
- 中国の固い歯ごたえのある湯葉
- キャベツ
- 揚げ大豆
- 刻みネギ
- 豆腐 となっています。
ふくさんは揚げ大豆と中国の湯葉に関しては初挑戦でしたが、とても気に入っていたようです。
そして、林正羽くんが頼んだのは「豚鶏ダブルスープ特製揚げ鶏759円(税込)」です。
彼いわく、「豚と鶏の骨を煮込み、コクとさっぱりを両立したスープは暖かい白色で、その上に乗る揚げ鶏が目を惹く。キツネ色のカリッとした香ばしい表面と、中の鶏肉の柔らかさ。後味もよく、食べやすいサイズなのでスープによく馴染む。高菜の酸っぱさと辛さ、野菜の仄かな甘みが一層全体の豚と鶏の旨味を引き立てる。ニンジンがほくほくでおいしかった」とのこと。これは彼がLINEで私に送ってくれた文面です。
続く私の感想はというと、見た目は完全にとんこつラーメンだけど、その味の想定で食べてしまうと、完全に裏切られるので気をつけて。予想に反してとてもさっぱりで、すっきりとしたスープになっています。こってり味が好きな方は物足りないので、他の味を選んでいただくか、これはとんこつラーメンじゃない(実際に違いますしね…これは米線で見た目が似ているだけ)と割り切ってお召し上がりください。
でも、正羽くんも言っている通り、あっさりしているのにコクもしっかり感じられるところがすごいところだと思います。
米線がヘルシーなことをいいことに、私たちはデザートも頼んじゃいました(笑)。
それが「揚げもち418円(税込)」です。
揚げたお餅にたっぷりと黒蜜ときな粉がかかっています。はい、せーの!
『見たらわかる、おいしいやつやんっ』
でも皆さんが想像する1.7倍はおいしいです。ほんとに。米線食べた後でも全然余裕でおいしかったです。外側がカリッカリのサックサクで、お餅がとにかく柔らかくて、黒蜜ときな粉の相性が抜群でした。
雲南省では、米線はお祝いのときに食べる縁起の良い食べ物なんだそうです。いやもう日本のお正月にもこれが出てきてほしいなと、ぜんざいと一緒に揚げ餅が食卓に並べられている未来を創っていきたいと、そう思いました。
阿香米線はJR高田馬場駅から徒歩3分くらいの場所にあります。ぜひ訪ねてみてください。
店舗情報
阿香米線
新宿区高田馬場2-14-9 アティレビル 2F
03-6302-1887
https://www.instagram.com/axiang_mixian/
Writer
記事を書いてくれた人
植田美佳子
会長からのひとこと
今回、立教大学観光学部3年の植田美佳子さんが食レポに初挑戦しくれた阿香米線は、昨年の中国外食チェーンのブランドランキング、麺ジャンルで2位に選ばれた人気店です。2000年創業の米線(ライスヌードル)のチェーンで、現在約600店を中国各地に展開していて、2019年9月にオープンした高田馬場店は、海外1号店です。
ぼくが植田さんをはじめ、学生チームにこの店を訪ねてもらいたいと思ったのはわけがあります。植田さんも感じたように、この店は明るくきれいな内装ですし、みなさんと同じ年代の中国の若い客の姿も多いので、どんな風に感じるか興味があったのです。
いま都内には阿香米線のような、従来の中華料理店とは異なる新しいタイプの店が増えています。その多くは、いまの中国の外食シーンをそのまま日本に持ち込んだような店だといえます。そこには、いまの中国の若い人たちが好ましいと思うエッセンスが表現されています。それは料理の中身にも見られるし、店の内装やサービスの仕方にも現れています。そこには、日本人である私たちから見ても面白いと感じるものがあるはずです(もちろん、ちょっと違うなあと感じることがあるとしても)。
私たちは、日本にいながら海外の食文化を思う存分、体験できる時代を生きています。みなさんには、ぜひもっといろいろ訪ねてほしいと思います。