魔法の粉で台湾ご飯のおかずを再現~「王守義十三香」「太太楽鶏精」

普通のおかずのメニューでも、中華料理のお店の味はなんだか特別。これって家でも作れるのかな、と思いませんか。

私はけっこう気軽に「これどうやって作るんですか」とお店の人に聞いてしまいます。プロじゃなければ上手にできないものも多いですが、意外に簡単なものもあります。

今回はちょい足しで、ぐっと本格的な味が簡単にできる魔法の粉(中華調味料)を紹介します。

日本や現地の老舗の台湾料理屋さんで教えてもらった味付けタマゴとキャベツ炒め、どちらも家庭で再現するのにおすすめの魔法の粉があります。

台湾ご飯の味玉をお家で作ろう

ルーロー飯や角煮丼など、日本でも大人気の台湾ご飯に欠かせない味付けタマゴ、いわゆる味玉はゆでタマゴをむいて、調味液に漬けるだけで簡単にできます。

家庭で作るなら、調味液の基本はなんと3倍濃縮麺つゆです。ゆでタマゴをむいて、ジップロックなどのビニール袋に入れて、濃縮タイプのめんつゆを原液のまま卵が浸る程度(ゆでタマゴ3個なら100㏄程度)入れて、空気を抜いて冷蔵庫で一晩おけば、それなりにおいしい味玉ができます。

超簡単なので、夜に仕込んで朝ご飯やお弁当にしても便利ですね。でもここまでなら、日本のラーメン屋さんの味玉風です。そこでちょい足しして本格中華の風味にしてみましょう。

魔法の粉その1
「王守義十三香」というミックススパイス

味玉を本格的な味にする魔法の粉その1は、「王守義十三香(ワンショウイーシーサンシャン)」というエキゾチックなミックススパイスです。

これは清真調料(チンジェンティァオリィァオ)、つまりイスラムの調味料で、「十三香」という名前の通り13種類のスパイスの粉が入っています。八角、山椒、ウイキョウ、シナモン、黒コショウ、生姜、陳皮、クミン、クローブ、甘草、山奈(バンウコン)、荳蔲(ナツメグ) 高良ハジカミ(山椒の一種)ですが、おなじみのものもあれば、日本では聞き覚えのないものもありますね。どれも中国南部から東アジアで使われている薬膳の材料であり、スパイスでもあります。

ゆでタマゴをつける麺つゆにこの「王守義十三香」を一振り(耳かきで半分くらい、ごく少量)入れてみてください。味玉の色を濃くしたけたければ、中国の濃い口醤油「老抽王(ラオチョウワン)」も大さじ1杯ぐらい足すといい感じの茶色になります。

□材料の目安

タマゴ3個に対して、3倍濃縮麺つゆ100㏄、「王守義十三香」を一振り(耳かきで半分くらい)、濃い口醤油「老抽王」大さじ1

もし中華食材店に行けないけど作ってみたい!と思うなら、とりあえず濃縮麺つゆと「五香粉(ごこうふん/ウーシャンフェン)」でお試しください。5種類のスパイスミックスの「五香粉」なら普通の大きめのスーパーのスパイスコーナーで手に入ります。ちなみに「老抽王」は中国の濃い口醤油と言われますが、塩分は濃くなく、色は濃い目。原料は大豆、塩、小麦粉、砂糖です。これも1本あると料理の色付けに重宝します。

台湾の味付きキャベツはどうやって作るの?

キャベツを切って炒めるだけなら普通の家庭料理のキャベツ炒めです。では、台湾ご飯の付け合わせの優しい味付きキャベツはどうやって作っているのでしょう。

あれはキャベツ炒めと浅漬けの間ぐらいのものなのです。キャベツを1cmくらいの幅に切ってボールなどに入れて塩を少し振っておきます。キャベツがしなっとなるまでの間に、刻んだ干しエビをお猪口などに入れて白酒をまぶします。

白酒については、以前私が書いた記事を参考にしてください。

お酒は飲まないという方も、中華料理の調味料として台所にお手軽な白酒が一瓶あると、料理酒より深みが出て、より本物っぽい中華料理になりますよ。白酒は蒸留酒ですからアルコール度数はとても高いです。でも料理に使う場合は、加熱でアルコールが飛ぶので、お酒が苦手な方でもお子様でも大丈夫です。

ここで使う干しエビは、コロッと厚みのあるタイプで、「蝦米(シアミィ)」と呼ばれます。中華食材店では干しエビといえば「蝦米」が主流です。お好みでニンニクのみじん切りも用意します。

フライパンに油を入れて、弱火にして「蝦米」を白酒ごと入れます。ニンニクもここで入れます。ポイントは、あらかじめフライパンを熱しておかないことと弱火にすることです。油で「蝦米」とニンニクをゆっくり煮ます。火が強いと焦げるので、あくまでも弱火でオイル煮にする感じです。「蝦米」とニンニクの色が濃くなっていい香りになったら塩でしんなりしたキャベツを入れて、いよいよ魔法の粉その2が登場です。

魔法の粉その2
丸鶏エキスの顆粒「太太楽鶏精」

フライパンにキャベツを入れたら、「鶏精(ジージン)」を振りかけて、「蝦米」とニンニクの油が回るように下からひっくり返していきます。チキンスープの素はいろいろありますが、中華味にこだわるならやっぱり太太楽というメーカーの「鶏精」がおすすめです。もちろんほかのチキンスープの素でもそれなりにおいしくできます。

キャベツ炒めは炒めないのがコツ

弱火のまま味が全体に行き渡るようにキャベツをひっくり返し続けて、決して炒めるほどの火力にしないこと。これであのしんなり優しくて、いくらでも食べられる、キャベツ炒めができます。「キャベツ炒め」というより、「キャベツ炒めない」といった方がいいかも。

□材料の目安

キャベツ半分に対して 塩少々、「蝦米」大さじ山盛り1、白酒小さじ1、(ニンニク1~2かけ)、油、「鶏精」大さじ1

炒めない野菜のオイル和えはポピュラーな調理法なんです

中華の野菜料理というと野菜炒めのイメージが一般的ですが、実はこのように塩を振った野菜をチキンスープの素と熱した油で和えたメニューがたくさんあります。

北京市内に牛街というイスラムの町があって、そこのフードコートにもこうした野菜メニューがたくさんありました。私は1週間の北京滞在だというのに、そのフードコートのカードを作って路線バスで昼ご飯に通ったことがありました。

真夏の北京では、昼過ぎに30分くらいスコールが降り、イスラムのショッピングモールの最上階にある食堂で、窓際の席からスコールに煙る街を眺めていたのを思い出します。10年以上前のことですが、いまもそのフードコートのプリペイドカードは引き出しの中にしまってありました。あそこももう、スマホ決済になっているのかな。

同じ作り方で、夏はセロリやズッキーニもおいしくできます。「太太楽鶏精(タイタイルージージン)」は、チキンスープはもちろん、炒飯や野菜炒めなど、中華料理全般に使えるとても有名な調味料です。「鶏精」が大活躍するメニューを今後も紹介していきますね。

今回買い物したのは、高島平にある新都アジア物産。都営三田線の西台から高島平方面に徒歩5分。広大な高島平団地の一番西台寄りの建物の1階アーケードにある地域最大のアジア物産店です。高島平中央総合病院の隣の建物なのでわかりやすく、7月にリニューアルしたての店内はとてもきれいです。

使った調味料は

  • 「王守義十三香」 198円
  • 「鶏精」500グラム入り 398円
  • 「海天老抽王」(濃い口しょうゆ)500ミリリットル 350円

大きな町の大型店より少しお手ごろな値段でした。

こんな住宅地にこの規模の中華食材店があるなんて、と驚きましたが、品ぞろえは欲しいもの、必要なものがちゃんとあり、ここに来ればだいたいの中華料理は大丈夫という印象です。埼玉県蕨市に大きな店舗があり、ネット通販もできます。日本語もしっかりしていて安心です。

女性経営者らしいおしゃれで健康にいい食品も揃っていました。おすすめを教えていただいたので、このお店の食材を使った夏のデザートなども近々紹介しますね。

店舗情報

新都アジア物産

板橋区高島平2-28-1-106
03-6915-7166
https://shimto.jp/

Writer
記事を書いてくれた人

Amy 松田

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