マーラータンをご存知ですか。中国四川の火鍋が進化した、具材たっぷりのスープ麺です。
なんといっても、スープのガツンとくる刺激がたまりません! ここ数年、都内にマーラータンの専門店が増えており、特に若い女性に人気です。というのも、日本より少し早く韓国でマーラータンのブームがあり、韓国旅行を通じて知った人も多いからです。
日本におけるマーラータンは、ラーメン評論家の石神秀幸さんが2007年にプロディ―スして始めた「七宝麻辣湯」が初お目見えでした。
このチェーンのマーラータンは「薬膳スープ春雨」がメインだそうですが、この時期にオープンさせた先見性は素晴らしいですね。
東京ディープチャイナでは、サイトを立ち上げた2020年頃からマーラータンをイチ推し「ガチ中華」として取り上げてきました。「ガチ中華」ビギナーだけど、好奇心いっぱいの女子学生ライターのみなさんがすでにたくさん食レポを書いてくれています。
そんなわけで、今回は、TDC版「ガチでおいしい人気のマーラータンが食べられる店」のまとめ記事をお送りします。
中国の人気外食チェーンの「楊国福マーラータン」
最初に紹介したいのは、今年3月に銀座にオープンしたマーラータン専門店の「楊国福銀座店」で、ランチタイムになると、行列ができる店として有名です。一度訪ねたことがありますが、店内は若い女性ばかりでした。
では「楊国福」はどんな店なのか。立教大学大学院生の江上ふくさんは、次のようにレポートしています。
「マーラータン(麻辣湯)とは、中国四川省を発祥とする辛く痺れる熱いスープで、ひとり用の簡易版火鍋のようなもの。
スープには、痺れる花椒と唐辛子以外に何十種類ものスパイスや漢方食材が使われており、美容にも良いヘルシーな料理です。
店内に入ると、「(ご来店は)初めてですか?」と店員さんが声をかけてくれ、注文方法を説明してくれました。
注文の流れは、
- 容器とトングを取り、ショーケースから好きな食材を選ぶ
- レジでグラム数を量り料金を計算する(100g=400円)
- スープの辛さ(普通・中辛・大辛)を決める
- 会計を済ませ、席へ移動
- 楊国福の特徴は、50種類を超える具材を自分で好きなだけ選べ、オリジナルのマーラータンを作れること
ではお味のほどは?
「スープは、想像以上にコクがありクリーミー!
初めてのマーラータンでしたが、豊かなスパイスを感じられる濃厚なスープで抵抗なく味わえました。
辛さは、3段階の真ん中の「中辛」を選びましたが、辛いものが好きな私にとってはちょうど良い辛さでした。
徐々に花椒のシビれが効いてくるため、油断して食べ続けていると後半はかなり舌が痺れます。
スパイスの辛さが体を温めてくれ、どこからともなくパワーが湧いてきました!」
彼女にとって「人生初のマーラータン」だったそうです。
※詳しくは以下の記事をどうぞ
現在、楊国福は都内に6店舗(池袋東口店、御徒町店、高田馬場店、大久保店、渋谷店、銀座店)あります。
※横浜や大阪、福岡にもあるそうです。
渋谷店を訪ねたTDCのメンバーのひとりが以下のように投稿しています。
「渋谷の楊国福で麻辣燙! ラーメン感覚です。
東京ディープチャイナのメデイア運営をしていると色々なお店に出会います。今日はマーラータンの「楊国福 渋谷店」で初体験ランチをしてきました。
一応、具材がすでに決まった初心者向きの麺もありましたが、せっかくなので具材を自分で選んでボールに入れていく方に挑戦。火鍋でおなじみの具材がズラリ。何をどう選んでいいのか分からないながらも野菜中心にヘルシーな感じで選んで、千円以上だったので麺がおまけに。
出来上がってきたスープを一口。美味。美味。
こんなにコクのある美味しいスープとは! 辛いのがそこまで得意じゃない私も珍しくかなりスープを飲みました。自分好みの具材でマーラー湯麺を楽しめる大満足のお店でした。1人だけど火鍋食べたいなぁって時にもちょうどいいかも。
場所もよくて、センター街ABCマートの斜め前」
さて、この「楊国福」ですが、実は2008年に中国で設立された飲食チェーンが、2018年12月、日本に出店したものです(初出店が池袋東口店)。なんでも中国全土に6000店舗も出店しているとか。「七宝麻辣湯」とほぼ同じ時期に設立されているのに、中国の大きさを実感しますね。
興味深いのは、「七宝」に比べ「楊国福」のほうが本場四川の味を大胆にアレンジし、スープをマイルド化したこと、カスタマイズを限りなく自由にしたことで、中国全土を席巻したというわけです。その意味では、「七宝」のまじめさは、ビジネスに対する日中の違いが出ていて面白いものだなと思いました。
個人オーナーの人気店「渋谷星星倶楽部」「四川マーラータン」
「ガチ中華」オーナーたちの個人経営の店でも、おいしいマーラータンは食べられます。
次に紹介するのは、渋谷の「渋谷星星倶楽部」と池袋の「四川マーラータン」です。どちらも浙江省出身の女性オーナー呉さんが始めたすてきな店です。
この両店については、立教大学観光学部の中原美波さんが紹介しています。
まず「渋谷星星倶楽部」から。
「このお店は2021年5月にオープンし、間もなく開店2年を迎えるとのことですが、「ガチ中華」があふれる街、池袋にも『四川麻辣烫』という名前で出店しているそうです。
今回私は若者の街、渋谷でいただける「ガチ中華」ということで、より一層わくわくしながら早速店内へと入りました。
店内は天井にカラフルな提灯が装飾されているほか、壁にもネオンサインや中国らしい紅色の飾りが施されており、にぎやかな印象です」
この店ではテーブルの端にあるQRコードを読み取ってスマホを使って注文するというオーダースタイルをとっています。
「画面を見てみると、まず初めに6種類のセットメニューが出てきました。
メニュー画面はどれも画像付きでわかりやすくなっています。セットはあらかじめ入る具材が決められており、あとはスープと麺の種類を選ぶのみ。セットをオーダーしても追加でお好みの具材をプラスすることも可能です」
では中原さんは何を注文したのでしょう。
「私が頼んだのは、スープは全6種(白湯、白湯花椒、薬膳ピリ辛、薬膳中辛、薬膳大辛、薬膳激辛)の中から「薬膳中辛」を選びました。
スープは赤めで、表面にはラー油が浮かんでいます。女性人気の健康セットということで、トマトやチンゲン菜、白菜、小松菜、空心菜などといった野菜を中心に、白きくらげやえのき、鶏肉などの具材もふんだんに使われています」
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※こちらは池袋の「「四川マーラータン」の記事です。
フードコートの四川料理店
意外な店でも、マーラータンは食べられます。中華フードコートにはたいてい四川料理のブースがありますが、たいていそこにはマーラータンがあります。
たとえば、池袋の有名な中華フードコート「友誼食府」には「香辣妹子(シャンラーメイズ)」という実在する四川料理店のブースがあり、マーラータンが食べられます。ついでにいうと、友誼食府は立川にもあり、そこにも「香辣妹子」が出店しているので、食べられます。
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「ガチ中華」の四川料理店ならたいていある
マーラータンは火鍋をひとりでも食べられるようにしたものですから、「ガチ中華」の四川料理店ならたいていメニューにあります。
意外な店でも食べられるケースがあります。たとえば西武新宿線駅前の一見古びた町中華のようなガチ中華の店「翔ちゃん」のオーナーは四川省出身なので、日本人向けのメニューには載っていませんが、マーラータンをつくってくれます。
面白いのは、オーナーが本当は得意としている本場の四川料理について、日本人のお客さんはよく知らないためあまり注文されないのですが、そういう料理の写真は壁に貼ってあって、それを指さして注文すればいいのです。
ただし、一品料理なので、楊国福のようなチェーン店のように、具材をカスタマイズすることはできません。辛さは口頭で伝えてください。
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マーラータンの進化系「串串香」と「麻辣香鍋」
火鍋から進化したマーラータンのさらなる進化系というのもあります。
それは串に刺した具材を麻辣スープでしゃぶしゃぶして食べる「串串香(ツァンツアンシャン)」です。これも豊富な具材から選べるので、ひとりでも大勢でも楽しめる料理です。
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「麻辣香鍋(マーラーシャングォ)」は、いわば汁なしマーラータンで、具材を選んで麻辣醤で炒めて出てきます。
スープがないぶん、トウガラシの種や破片がのどにつっかかったりしないので、食べやすいと思うのは、ぼくだけでしょうか。ご飯と一緒に食べると箸が止まらなくなります。
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中華食材店のマーラータンの素で自炊はいかが
最後はマーラータンを自宅でつくってみましょうという提案です。
都内の中華食材店にいくと、必ず売っているのが、マーラータンやマーラーシャングォの鍋の素です。これを買ってきて、あとは具材と一緒に煮るとマーラータン、炒めるとマーラーシャングォができてしまいます。
ぜひやってみてください。
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(東京ディープチャイナ研究会)
店舗情報
楊国福池袋東口店
豊島区東池袋1-13-12 JETビル
渋谷星星俱楽部
渋谷区宇田川町32-6
四川マーラータン
豊島区西池袋1-38-2
友誼食府池袋西口店
豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル 4F
友誼食府立川店
立川市柴崎町3-6-23
翔ちゃん
練馬区関町北4-3-1
老四川名小吃 小郡肝串串香
新宿区高田馬場1-6-15 荒井ビル
麻辣王豆腐
新宿区新宿3-21-2 全日第三ビル3F