「味僕研」って何? 新作続々!お披露目パーティーのメニューを大紹介

「味僕研」って何? 新作続々!お披露目パーティーのメニューを大紹介

ガチ中華ブームが続く中、各地でたくさんのイベントが開催されています。連日のようにイベントに顔を出している私にとって、最近一番印象に残ったイベントは、3月20日、秋葉原にある「香福味坊」で開かれた「味僕研」のお披露目パーティーでした。

「味僕研」のお披露目パーティー

「味僕研」って何? そう思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは「味坊と僕らの中華研究所」の略で、知る人ぞ知る唯一無二な食ラボです。さらに言うと、これは日本人と中国人が手を組んで、それぞれの強みを活かして、知恵を出し合って結成された団体で、メンバー構成、開発内容、展開スタイルなど、どの視点から見てもオンリーワンです。

○○料理、○○調味料はこうであるべきだといった固有観念に縛られず、美味しいものがさらに美味しくなることだけに集中して、味僕研は新商品や調味料を開発・製造しています。新しい食材を取り入れたり、調理法を変えたりすることで、王道の調味料や料理が華麗にバージョンアップします。「美味しいワクワク」を消費者にお届けするのが、この「味僕研」なのです。

今回のイベントは、「味僕研」の商品発表会を兼ねていますが、商品開発というと、大手食品会社が手がけ、一度商品化すると大量生産になるイメージがあるかと思います。しかし「味僕研」の商品開発は全く違います。小規模だからこそできる「少量産、高品質、One and Only」を目標に、手作り、無添加にこだわり、これまでにない商品を作り出しています。

そんな「味僕研」の中心メンバーはこのお三方! 昨年「外食アワード2022」を受賞した味坊集団のオーナー梁宝璋さんを筆頭に「羊齧り協会」主席であり、数々の食ブームを日本で巻き起こした菊池一弘さん、そして日本随一の鮨専門家であり、あの名高いすしログを執筆する大谷悠也さん。まさに「ガチ中華」業界に旋風を巻き起こす三剣士ですね。

味坊に通い続けている私にとって、味坊メニューを良く知っているつもりでした。しかし、この日のメニューを事前の告知で見た時、「何それ?」と思わず声を出してしまったほど、気になるものがいっぱい! エビエビ辣油だと? エゾ鹿焼売だと? 私の大好きな葱油拌麺の食べ比べだと? 検証しに行かねばならぬものばかりじゃないですか!

料理をいただくのが一番の楽しみでしたが、しかしそれより先に、冒頭の挨拶にいきなりやられました! 「味僕研」三剣士の熱い男3人が熱く語る姿がとにかくカッコよくて、商品開発に注ぐ熱意がストレートに伝わり思わず胸が熱くなりました。

「味僕研」三剣士の男3人

菊池さん、大谷さんはコロナ禍の3年間を振り返り、「味僕研」を立ち上げたものの、開発もイベントも困難が続いたという裏話を聞くと、笑顔の裏には、こんな苦労もあったかと思う一方、食への情熱は人一倍で、のちにいただく新作料理や調味料は、この方達が監修したからこのクオリティなんだとすごく納得しました。

ふたりのユーモア交えたトークで参加者からの笑いが上がったあと、少し緊張気味の梁さんも、多くの方が「味僕研」プロジェクトに携わっていると語り始めました。

そして、「一般消費者の声に耳を傾け、みんなで一緒に美味しいものを作り出したい。そんな素直な気持ちからこのプロジェクトを発足させた」という経緯を紹介し、「食のスペシャリストから常連客までみんなで意見を出し合って、どんどんいいものを作ることができた」と過去を振り返り、結びの言葉に「味僕研の“僕”というのは皆さんのことです」と、力強く話されました。異国の地で地道な努力を重ねてきた姿とこの言葉の重みが重なって、私は感動せずにいられませんでした。

さて、この日のメニューは、これまでの定番、定着しつつある自信作、初めてのお披露目と美味しいものがオンパレード。お料理が運ばれてきた時、新しい食材だったり、新しい調理法だったりと、初めて見るものも多く、その都度あちらこちらから「わ〜〜〜っ!」と歓声が聞こえてきました。

「味僕研」のメニュー

それでは、我がTDC代表中村さんと松永がパーティーでいただいたものの数々をどうぞっ!

老虎菜(ラオフーツァイ)

東北地方を代表する前菜――「老虎菜(ラオフーツァイ)」。食材はパクチー、青唐辛子、きゅうりがメインですが、今回のは辛い青唐辛子をやめて赤唐辛子で代用し、辛さ控えめでとても食べやすく、パクチー好きにたまらない一品。

ラム肉にこごり

定番の前菜「ラム肉にこごり」。余分な油が入ってない上、ニンニクとお酢と辣油を効かせているので、さっぱりといけます。大抵の人はまるで魔法にかかったように、この味は脳にインプットされ、定期的に食べたくなるらしいですぞ。

板春雨サラダ

またまた東北料理の王道「板春雨サラダ」。野菜がいっぱい入っていますので、ヘルシーで美味しくて、前菜にも口直しにもぴったりの一品です。罪悪感を感じずにパクパクいただいちゃいます。

エビエビ辣油

これは「味僕研」の名作「エビエビ辣油」。エビのエキスたっぷりで、蓋を開けた瞬間香りがすごい! 常備したい万能辣油で何にでもかけたくなります。

すごい!にぼし酸辣油を使った豆腐干絲

正直言って、私は干し豆腐が苦手です。水分が少ないため、食感はパサパサになりがちで、どうしても大豆の味が強調される気がするからです。でもこの「すごい!にぼし酸辣油を使った豆腐干絲」の味付けはマイルドで万人受け、実に食べやすいです。調味料の「にぼし酸辣油」はクラファンで275%のご支援を集めた名作だそうですよ。

煮干しと言えば和食と考えがちですが、意外にも中華とも合って、全く違和感なくいただきました。また、中国の発酵野菜の酸菜をも取り入れ、あとを引く美味しさを実現し、「食べる辣油」を超えたスーパー食べる辣油と言えましょう。商品の裏に隠されているストーリーを知ることで、感動も一段と深いものになりました。

これが葱油拌麺(ツォンヨウバンミエン)の試作甲、乙食べ比べ」です。最初の皿(左)は葱油の香りをしっかり立たせながら、お醤油はかなり控えめです。上海や蘇州でよく使われる老抽醤油入り、色濃い目の葱油拌麺と比較せず、これを新葱油拌麺だと思えば、全然ありです。

2皿目(右)は揚げ干しエビ入りで、よりまろやかで食べやすいです。好みが分かれるところですが、甘めの味付けが好きなら後者を選ぶと良いかと思いました。また、1皿目の葱はカリカリに揚げたのに対して、2皿目は柔らかくしっとり。どのタイプも美味しいので、この葱油拌麺を食べる時、ネギも残さず一緒に食べましょう。

実はこのパーティーでアンケートも回収することになっていて、各料理への感想はもちろんのこと、葱油拌麺のバトルもどうなるかも気になるところですね。

出ました! 極上の「熟成エゾ鹿肉点心食べ比べ」。最初の皿(左)は「極上の熟成エゾ鹿餃子」です。

ここ数年、鹿が害獣として駆除されることも増えたようで、鹿肉がジビエの代表になりつつありますね。実際に食べてみるとジビエ特有の臭みもなく実に食べやすくて美味しかったです。

お次(右)は新作の「極上のエゾ鹿焼売」です。普通のしゅうまいより色も味も濃いめです。一品料理として、またはお酒のおつまみにもピッタリ! 餃子同様、肉自体の味が濃厚で、肉汁もいっぱいで大変満足しました。

麻辣羊肉餅

そして名作「麻辣羊肉餅」。ジューシーな羊肉とやや濃いめの味付けがベストマッチしています。ひとり一皿でも食べられると思ってしまいます。羊と麻辣って、やっぱり最高のコンビですね。

さて、ここからがメインの料理となります。

国産二元豚と発酵白菜の紹興酒壺炊き

まず羊の丸焼きと同じ、味坊宴会の花形になりつつある「国産二元豚と発酵白菜の紹興酒壺炊き」です。

豚肉のエキスをしっかり閉じ込めているため、味わい深いメイン料理で、スープまで飲み干したくなります。発酵酸菜の酵素の力でお肉が柔らかくてホロホロ。そして酸菜の酸味は全く角立っていなくて、むしろ優しくなっています。何度食べてもまた食べたい一品。スープも肉も酸菜も超優秀!

味坊集団専務の林強さん

紹興酒の壺を使って調理するこの料理の配膳は、梁さんの片腕、味坊集団専務の林強さんが仕切ります。

そして本日の目玉ーーーー「ウェールズ産ラムもも一本古法盐焗(盐焗羊腿)」です。

ウェールズ産ラムもも一本古法盐焗(盐焗羊腿)

「盐焗(ヤンジュウ)」とは、もともと広東料理によく見られる調理法で、日本語でいうと、塩巻き焼きです。塩で鎧を作り、じっくり加熱、ゆっくり保温、しっかり旨味を引き出すやり方です。蓮の葉やアルミホイルなどで食材を包んだあと、粗塩でコーティングして加熱していくと、食材の旨味が凝縮してしっとり柔らかく仕上がります。

運ばれてきた盐焗(ヤンジュウ)

運ばれた途端、会場から歓声が上がり、一斉に撮影が始まりました! 会場をゆっくり一周し、たくさんの方が金槌でトントンして、鎧を確認。これもまた楽しいですね。そしていよいよ解体。塩の鎧をバラして出てきたラム肉が、期待に裏切らず大変美味しく仕上がっていました。

ラムもも肉をバラすとこんな感じになります。ジューシーで癖がなく、めちゃくちゃ食べやすくて気に入りました。ほんのり塩味が付いていますし、お好みでタレをかけていただいても美味しいです。

右のタレは「辣醬」。左のカーキー色っぽいものは、韮の花をつぶして、塩で味を整えて発酵させた「韮菜花」です。羊との相性がとても良いので羊料理の時はもちろんのこと、火鍋の合わせ調味料としても定番ですよね。

カリカリスナック辣子鶏(ラーズージー)

四川料理の代表選手――「カリカリスナック辣子鶏(ラーズージー)」です。骨付き肉をもっと小さく切って揚げるのが四川流ですが、この辣子鶏は一個一個大きく食べ応えがあって、満足度も大ですね。

ここでも味坊さんのこだわりを感じます。よく見ると唐辛子の形や色が違います。実はこの一皿に3種類の唐辛子がブレンドされて入っています。見た目ほど辛くなく、どちらかと言うと香ばしいです。山盛り唐辛子が入っているからと躊躇する方でも、唐辛子は一種の演出だと思えば、辣子鶏のハードルも低くなると思いませんか。

菜の花の広東風茹で和え

味坊農園採れたて野菜も登場! 「菜の花の広東風茹で和え」です。色も味が濃く、ほんのりほろ苦さがクセになって、このシンプルな炒め物はちょうど良い口直しになり、いくらでも食べられます。話を聞くと、味坊さんは広大な自社農園で中国野菜をはじめとする様々な野菜を栽培しているそうで、安全安心美味しい、三拍子揃っていますね。

味坊からハンバーガー??!!

遊び心あっていいじゃないですか? 中国にだって、チャイニーズハンバーガー「肉夹馍(ロウジャーモウ)」もありますから、中国人からするとそんなに違和感ありません。しっとりしたバンズと羊のパテが合いますね。宴会の締めとして、軽食として使い道もいろいろ。とても食べやすくてあっという間に完食しました。

羊肉炊き込みご飯

しめは「羊肉炊き込みご飯」でした。

中華の宴会に白酒がなくちゃ! 最近、白酒好きな日本人もかなり増えた気がします。白酒の炭酸割りバイボールだけじゃなく、中国式の乾杯もあちらこちらで見かけました。

私はこのような「ガチ中華」の宴会には何度も参加しています。共通しているのは、中国人にとって馴染みのある料理や食材を、日本の人たちが素直に喜んでチャレンジしている姿が見られること、そしてとにかく和気あいあいで楽しく盛り上がっていることです。

「食は人をハッピーにする、食は壁を無くす、食は距離を縮める」

宴会に参加する度に、これは万国共通だなと実感します。そして、味坊を中心としたコミュニティーでは、さらに一歩進んで、異なる文化、言語の人を繋げ、力を出し合って斬新なアイデアで新しい食文化を創り出す姿は、まさに草の根の友情であり、理想的な形だと思います。

固定観念を砕き、自由な発想で新しい商品をどんどん作り出す「味僕研」の活動を知れば知るほど、さらに応援したくなりましたし、自分も「味僕研」の「僕」のひとりとして、できることをやりたいという思いを胸に、ワクワクする気持ちでいっぱいの夜を終えました。

梁宝璋さんと私

味僕研(味坊と僕らの中華料理研究所)


店舗情報

香福味坊

香福味坊

千代田区神田佐久間町1-21
Chiyoda Terrace
(千代田テラスビル)B1F

03-3527-1658

https://www.ajibo.jp/shopinfo.html

Writer
記事を書いてくれた人

松永 悠

プロフィール

代表からのひとこと

実はこの「味僕研」お披露目パーティーの会場にはぼくもいました。今回の新作メニューの数々は、松永さんが熱く語ってくれたように、本当に熱の入っていた力作ばかりだったと思います。

飽くなき美食への挑戦を続ける味坊の梁さんですが、彼の周囲にはいつもたくさんのサポーターがいるのみならず、自分たちの夢を実現しようと集い、一緒に活動する有志たちの姿が素晴らしいです。「味僕研」はこうした数ある活動のひとつといえますが、菊池さん、大谷さんという強力なメンバーが始めただけに、これからどんなものが生まれていくのか大いに期待してしまいます。

ぼくは個人的に梁さんと不思議な縁を感じていて、彼の人生についてこれまで何度か話を聞いてきました。それを以下のコラムに書いています。

もしよかったらお読みください。みんなから愛される梁さんの魅力のひみつが理解できるのではないかと思います。

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