こんにちは、“ふ味縁 ”メンバーとしてTDCに参加しているこむじゃです。
5月にギリシャのアテネ、サントリーニ島に夫婦で旅行に行った際の「ギリシャ中華」レポをお送りします。
渡航の少し前にTDC取材に参加した折、他のふ味縁メンバーに「近々ギリシャに行く予定がある」と話していたのですが、ふと「ギリシャにも中華料理店はあるのか?」「あるとすれば日本の町中華のようにローカライズされているのか、或いはガチ中華なのか?」と興味が湧きました。
これまでの取材参加ですっかり「中華的なもの」を探すのが習慣になっていたこともあり、この機会を活かして「ギリシャ中華」を探してみることにしました。
ギリシャの文化について
早速ギリシャ中華探し…といきたいところですがその前に、皆さんはギリシャと聞いてまずどんなイメージが浮かぶでしょうか。
個人的には、やはり古代ギリシャ文明の遺跡の数々。ギリシャの国土は日本の1/3ほどの広さで、その中に20カ所もの世界遺産がひしめきあっていますが、その約半数が紀元前から残る古代遺跡です。
中でも人気度・知名度で群を抜くのが、アクロポリスの丘の上にそびえ立つ「パルテノン神殿」。
首都アテネの中心地にあって交通の便がよいこともあり、私たち夫婦が参加したパッケージツアーでも一番最初に回る観光地として設定されていました。現在の神殿は修復されたものですが、元は紀元前400年代に建てられたもの。間近で見ると、高さ14mを超す大理石の建造物という圧倒的な質量に、途方もない歴史の長さが乗った、凄まじい迫力を堪能できます。

食文化については、ギリシャ料理と言われてパッと何か浮かぶ方は少ないかもしれません。ざっくりまとめると、「本土の温暖で乾燥した気候で栽培されるオリーブやトマト、ハーブ類」「地中海で取れる豊富なシーフード」、この両方を味わえるのがギリシャ料理の魅力です。代表的かつ、今回の旅行で実際に食べたものを一部ご紹介します。
スブラキ
オリーブオイルやレモンでマリネした具材に、オレガノなどを振って焼いた串焼き料理。肉でも野菜でも「スブラキ」ですが、特に肉のほうはハーブと肉の脂がマッチし食べるのが止まらない一品です。お土産店には「スブラキ用」と書かれたハーブミックスが売っており、自宅で再現することも可能。写真は豚肉ですが、店によっては羊肉もあるようです。

グリルド・カラマリ
「カラマリ」はギリシャ語でイカのこと。日本のイカリングのようにカットしたフライが一般的ですが、今回はイカを丸ごとグリルしたものいただきました。端が焦げてしまうほどしっかり焼かれているのに身はふっくら柔らかく、非常においしかったです。

ムサカ
スライスしたナスの上にマッシュポテト、ひき肉、ミートソース、ベシャメルソースなどを重ねてオーブンで焼いた、ギリシャ風のラザニアのような料理です。筆者が一番好きなギリシャ料理で、今回の旅行でも「絶対食べる!」と決めていました。最近は日本のデパ地下で見かけることもあり嬉しいかぎりです。

ギリシャ中華探し:アテネ編
アクロポリスの丘を下り、車中からの観光も終えた後は、待ちに待った自由行動タイムです。
実は、筆者のギリシャ訪問はこれが10年ぶり2度目。
前回の訪問時は経済危機の真っ只中で、パルテノン神殿などの観光スポットにこそ観光客がいましたが、地元の人々が暮らす街には人けも少なく活気がありませんでした。ツアーバスの運転手さんが「友人は皆失業している。自分は仕事があるだけありがたい」と話してくれたのが強く印象に残っています。
今回はひとたび街に出ると、大通りには車が溢れ、カフェのテラス席には談笑する人々の姿が。満員の地下鉄に乗り込めば、お年寄りが子供に話しかけてあやす微笑ましい光景も見られ、街は目に見えて活気を取り戻していました。
そんな街の様子を嬉しく思いながら、博物館や市場に向かう他のツアー客たちを尻目に、我々夫婦は中華を探しにアテネの街に繰り出しました。
事前のネット調査で何店かピックアップしていたのですが、実際に入ってみたのは宿泊していたホテルから近かったSTREET WOK(ストリート・ウォック) アンペロキポイ店。
同名の店は世界中にありますが、それらとは特に関係がなく、アテネを中心にギリシャ内でのみ展開しているチェーン店のようです。
公式サイトによると中華に限らず”ヘルシーなアジア料理”をコンセプトとしているようで、こうしたファストフード型のアジア料理店はギリシャ初とのこと。「パンダエクスプレス」のギリシャ版といったところでしょうか。

メニュー表記はギリシャ語と英語のみ。レジカウンターで①ご飯や麺などの主食、②肉や野菜などの追加具材、③ソースを選ぶと、すぐ横にあるガラス張りのキッチンですぐに調理がスタート。中華鍋で豪快に具材を炒め、熱々の状態でお馴染みの形状の箱に詰めて提供してくれます。
①は5.9€の定額で、②は具材の種類により0.8〜2.1€の追加料金、③はすべて無料。つまり総額は6.7€(当時のレートで約1300円)からとなります。
個人的にはファストフードとしては少し高いな…と思いましたが、ギリシャの定番ファストフードであるギロス(野菜や薄切り肉をピタパンに挟んだサンドイッチ)が大体7〜8€だったので、特別高い値段設定というわけではなさそうです。
ドリンクにも何かアジア要素を期待しましたが、他の現地レストランと変わらずスプライトやコーラなどしかなく、そこは少し残念でした。

オーダーしたメニューはこちら。
こむじゃ:玄米/タケノコ/四川風味(Hot Sichuan) 6.7€
おそらく唐辛子以外は塩胡椒が味付けの中心で、町中華…を通り越して家で作ったチャーハンのような、なんとも親しみの湧くお味でした。
メニュー表では唐辛子マークが3つ付いており、ストリート・ウォックでは一番の辛い味付けのようです。しっかり後を引く辛さで、大衆店としては十分な辛さだと思いました(注:激辛好きの感想です)。
ギリシャもスパイス文化ですが、唐辛子のイメージはあまりないので、割と攻めた味付けかもしれません。
追加の具材以外にも、ベースとしてキャベツやヨーロッパでは珍しい豆モヤシなどの野菜がしっかり入っており、食べごたえ抜群でした。
ちなみにカトラリーが箸とフォークのみのため、主食にご飯を選ぶと食べるのに少々難儀します。

夫:卵麺/チキン/ココナッツカレー味 7.5€
中華感はありませんが、マイルドなドライカレー味という感じでとても美味しかったです。卵麺はパッタイのような平たい形状で柔らかく、シャキシャキの野菜とのコントラストが楽しめます。

訪問時は幸い天気が良かったので、テラス席で街並みを眺めながらいただきました。道路を挟んで向かいには「プロテインガーデン」なるカフェがあり、我々が箱中華をつつく間もひっきりなしにデリバリーのバイク(ほぼWolt、たまにuber eats)が商品受け取りに来ていました。アテネの人々の健康志向が窺えます。

ちなみにストリート・ウォックのすぐ隣にも寿司やバオバンズ(中華風蒸しバンズ)、ラーメンなどと書かれた看板が。こちらは後から調べたのですが、残念ながら店名が特定できませんでした。

1時間ほどのんびり過ごしましたが、他にアジア系の客は見かけませんでした。
アテネの中とはいえ大通りから一本入った辺りで観光客は比較的少ないエリア、かつド平日の昼間だったせいもあるかもしれません。ギリシャ中華…と呼んでいいかは分かりませんが、アテネの街並みを眺めながらアジアな味を楽しむ貴重な体験ができました。
この他にも、アテネで見かけた中華を感じるお店をご紹介します。
まずはアテネ散策中に見かけた台湾タピオカティーのテイクアウト専門店「SHARE WISH」@アテネ/ペリクレオス通り。
看板に「Taiwanese Tea」とありますし、メニューもタピオカミルクティーやフルーツティーなどいかにも台湾なのですが、漢字は簡体字です。

次に見つけたのはギリシャを中心にキプロスなどでも店舗が展開されている、チェーンの大型スーパー「スーパーマーケット スクラヴェニーティス」@アテネ/キフィシアス通り。
1Fでは日用品から衣類まで幅広く雑貨を扱っており、地下に食料品売り場があります。その一角にアジア・エスニックコーナーがありました。
そこで目についたのは大きく「家」の文字がプリントされたインスタント麺などの商品群。
調べてみたところ、なんとギリシャ内でのみ展開されている「オリエンタルエクスプレス」というアジア食品ブランドの商品でした。インスタント麺だけでなく、瓶詰めの豆モヤシやタケノコなどの食品や調味料なども扱っているようです。風味こそ生には劣るかもしれませんが、現地で簡単なアジア料理を自作することもできそうです。
オリエンタルエクスプレスの商品の一つ。これは特にスープなどは付いておらず、好きな味付けで食べるタイプのようです(写真右)
ギリシャ中華探し:サントリーニ島編
アテネに数日滞在した後は、今回のツアーの目玉でもあったサントリーニ島へ。
サントリーニ島はギリシャ、エーゲ海に浮かぶ世界屈指の人気リゾート地です。白壁の住居、青いドーム屋根の教会などが山肌に隙間なく立ち並ぶ美しい街並みや、そこから眺める夕日が有名ですが、南部には遺跡発掘現場を丸ごと施設内に取り込んだアクロティリ遺跡などもあり、ギリシャの魅力がぎゅっと詰まったスポットでもあります。

訪問手段はクルーズ船のイメージが強いかもしれませんが、我々は飛行機で向かいました。少々情緒には欠けますが、船ならアテネから7時間ほどかかるところ、飛行機だと1時間足らずで到着するので、現地での観光時間をしっかり確保できおすすめです。
ギリシャ中華探しはアテネで終了のつもりだったのですが、島の中心地であるフィラ地区の散策を始めるやいなや、今回のギリシャ旅行で最も中華感の強いお店を発見したため、最後にそちらもご紹介します。
石畳に白い壁…というザ・サントリーニな景色の中に佇むガチ中華店がこちらの「溢香居」。メニューからすると麻婆豆腐やよだれ鶏、酸菜魚(白菜の漬物を使った魚の煮付け)といった四川料理を中心に出しているガチ中華店のようです。
店内はほぼ中国人観光客のようでしたが、欧米系の客もちらほら見られました。今回見かけたお店の中ではダントツでガチ中華感があり非常に気になりましたが、サントリーニ島での滞在時間が短く、チャレンジできなかったのが悔やまれます。
店外にあったメニュー表。ある意味、ギリシャ文字より見慣れた字面が並ぶ(写真右)
「ギリシャ中華」探しを終えて
今回ギリシャで実際にお店探しをしてみた結果、ギリシャで中華料理を扱っている店は主に以下の3種類でした。
- 中華以外にも日本や東南アジア諸国の料理をごちゃまぜに提供している店
- 「ストリート・ウォック」のようなファストフード型の店
- ギリシャナイズはされていない、いわゆるガチ中華
数としては①が圧倒的に多く、中華料理が広まっているというよりは、「アジア料理」という大きなジャンルの中の小ジャンルに留まっているのかなという印象でした。
また「ストリート・ウォック」やオリエンタルエクスプレスの売り文句を見るに、ギリシャにおける中華料理は、日本の町中華のような「塩分多め、油多め」な印象とは異なり、「野菜多め、グルテンフリー可」というように、どちらかというとヘルシーなジャンルとして推されているようです。
この点は日本での昨今の麻辣燙ブームとは重なる部分もあり、時代的なニーズを感じます。
今回「ギリシャ中華」を探してみて、想定していたよりもずっと簡単に見つかることに驚かされました。
今回レポに取り上げた店以外にも、アテネの街なかには多くのアジア料理店やアジア食品専門のスーパーが点在しています。ギリシャにおいても異国のものである「中華」を探すことで、逆にギリシャローカルの現在地を垣間見る、そんな興味深い旅になりました。
古代文明のイメージが強いギリシャですが、これからアジアを含めさまざまな文化を取り入れて変わっていくであろうこれからのギリシャの姿も非常に楽しみです。そしてもしまた訪れる機会があれば、次はよりギリシャナイズされた中華店、そしてもちろんガチ中華店を探してみたいところです。
(こむじゃ)
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