池袋の第2の中華フードコート「食府書苑」では何が食べられるのか

東京オリンピックの開催日でもある7月23日(金)、池袋に新しい中華フードコード「食府書苑(しょくふしょえん)」がオープンしました。

場所は、なんと西池袋の人気の中華フードコート「友誼食府」と同じビルの2階です。

ある週末の夕方、食府書苑を訪ねてみました。店は若い女性客の姿でけっこうにぎわっていました。

このフードコートには、2021年9月現在、6つの異なる中国のローカル料理の店があります。友誼食府にはない、雲南料理や湖南料理、福建料理など、日本人がまだよく知らないユニークなディープ中華が集結しており、強力なライバル登場といえます。

いま西池袋は中華フードコートの開店ラッシュが起きています。

以下、入店して左側から時計回りに店を紹介しましょう。何が食べられるか、わかりやすく説明したいと思います。

まずは「凡記 西安肉夾饃(ファンキーシーアンロウジャーモー)」という西安料理の店です。

同店は同じ西池袋(豊島区池袋1-2-7)にあり、話題のビャンビャン麺やロウジャーモー(肉夾饃)が食べられます。

ロウジャーモーは、西安風煮込み肉入りバーガーとでもいえばいいのでしょうか。固めのバンズに肉汁が染みて乙な味わいです。

次は「食彩雲南 過橋米線(しょくさいうんなん かきょうべいせん)」という都内でも珍しい雲南料理の店です。

ここでは雲南名物の米線というライスヌードルが食べられます。

これは牛肉入り麻辣スープで、おいしいですよ。

この店のイチ押しメニューは「薬膳汽鍋鶏スープ」です。
この店を出店しているのは、四谷三丁目や東池袋にある同名店(新宿区四谷3-3/豊島区東池袋2-21-3)で、身体にやさしい薬膳スープが女性に人気です。

いちばん奥にあるのが、福建省の地元ローカルフードを出す「沙县小吃(シャーシェンシャオチ―)」です。

沙县小吃は中国のみならず海外へのフランチャイズ出店数6万3000店舗という巨大なチェーン店で、2018年6月に高田馬場(新宿区高田馬場2-8-6)にオープンしました。

福建の省都である福州の西隣にある三明市沙県という超ローカルなご当地スープ(炖罐)やワンタン(扁肉)、蒸し餃子(蒸餃)、和え麺(拌面)などが食べられます。

そのまま右手に回ると「卤煮炸串串(ルージゥザーツァンツァン)」という東北地方の小吃の店があります。

新宿や錦糸町にある「三巴湯」という火鍋屋(墨田区錦糸2-5-8 /新宿区歌舞伎町1-22-7)が出店していて、串揚げや煮込み系の料理を出します。全体にお酒のつまみ系が多そうです。

その右は「品品香(ピンピンシャン)」という四川・湖南料理の店で、同じ西池袋にある店(豊島区西池袋1-34-3 )が出店しています。

この店では、竹串に刺したさまざまな具材を鍋で煮て、火が通ったら冷たい麻辣スープに入れて食べる串串香(ツァンツァンシャン)という四川料理があります。

この店の厨房で働く彼女は気立てが良く、いつも一生懸命仕事をしている姿が好感を持てます。

※2022年9月現在、彼女は転職したと聞きました。ちょっと残念です。

彼女がつくってくれたのは、「長沙自選拌菜(チャンシャージーシュァンバンツァイ)」という湖南風の辛い野菜の和え物です。

湖南料理の辛さのひとつに、赤トウガラシのみじん切りをニンニクや塩、酒で発酵させた剁椒(ドゥオジャオ)があり、これをかけた汁なし麺(剁椒拌麺)やぶっかけ飯(剁椒拌飯)があります。

またシャープな辛さが食をそそる香辣牛肉麺も食べられます。

食府書苑では、緊急事態宣言中はアルコールを提供していないのですが、お店の人に聞いたら、「同じビルの4階にある友誼商店で買ってきて、店に持ち込んでもかまわない」そうで、青島ビールを買ってきました。なんてありがたい話。香辣牛肉麺は相当辛いので、ビールがほしくなったからです。もちろん、彼女に伝えれば、辛さは調整してくれます。

そして、食事をしないでお茶だけですませるのなら、台湾のタピオカドリンクの店「珍煮丹(トゥルーダン)」があります。

珍煮丹TRUEDAN

食府書苑は座席が約50席あるので、同じビルにある友誼食府に比べると広いし、料理の種類も豊富です。それにしても、ガチ中国が味わえるフードコートとして有名になった友誼食府と同じビルにオープさせたとはなかなかの度胸ですね。でも、料理はかぶっていないので、その日何が食べたいかで2階か4階か選ぶ楽しみが増えました。

このフードコートのオーナーは、もともとここにあった聞聲堂中文書店という中国語書店の人です。フードコートの脇に中国語の本が並んでいるのはそのためです。

聞声堂中文書店 (wensheng.jp)

食事の支払いはこの本屋さんのレジで行います。

注文したいお店と料理の名前を伝えると、現金でお会計してくれます。メニューはレジの前に置いてあります。

一般の日本人客にとっては、それぞれの店の名前もそうですが、そもそも料理名がよくわからないと思うので、このフードコートの使い勝手はいいとは言えません。それは店の人たちも承知していて、今後改善するそうです。

食府書苑では、定期的に中国の珍しい料理の調理風景の実演や試食会をやるそうです。

7月24日(土)に行われたのは、中国の宴会料理のデザートとして知られる龍須麺(ロンシューミエン)でした。龍須麺は髪の毛の細さに近くなるまで麺を伸ばし、最後に油で揚げて砂糖などの甘味で味つけするものです。

麺を伸ばすのに1時間近くかかります。調理人は北京出身の鄭炳慶さん。ふだんは池袋の「薩斐蘭州拉麺」(豊島区池袋2-13-8)という店で麺打ちをされている方です。動画が長すぎるので、早送りバージョンでどうぞ。

もし今度池袋に行くことがあったら、同じビルにあるふたつのフードコートを訪ねて、見比べてみてください。どちらもディープで、それぞれ個性があって、とても不思議な世界が広がっていますよ。

※2021年9月にオープンした第3のフードコートはこちら。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

食府書苑

豊島区西池袋1-28-6
大和産業ビル2F
03-3590-0688

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