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「スープが美味しい」中国IT業界女性が世界展開する川崎「小谷姐姐(シャオグージェジェ)」

「スープが美味しい」中国IT業界女性が世界展開する川崎「小谷姐姐(シャオグージェジェ)」

2026年10月現在、マーラータン(麻辣燙)は長期間の人気を維持、都心では店舗が激増、現在もチェーン店を中心に未だ行列が絶えません。

そんな中、中国国内で4大麻辣燙チェーンの一つ「小谷姐姐(シャオグージェジェ)」の直営店が2026年9月、川崎市に上陸しました。ちなみにその4大麻辣燙店の一つは、あの杨国福麻辣燙です。

場所は川崎駅から徒歩5分ほどの、大通りに面する立地抜群の角地でお客さんが絶えず入れ替わります。

高い位置にもある看板。麻辣燙店では初めて見ました。とても迫力があります
多くの人で賑わう店内。川崎駅周辺は意外にもまだ麻辣燙店は少なく、この場所は知り合いが以前ラーメン店をしていた場所だそうです

オーナーは何とTDCの記事でも度々出てくる「ムーさんの蒸鍋館」、「南方急行」「ハラールキッチン」など、さまざまなガチ中華ジャンルを9店舗展開する牟明輝(ムー メイキ)ことムーさん!

オーナーのムーさんこと、牟明輝さん(大連出身)

牟さんのお店の紹介はこちらをご覧ください♪

今回小谷姐姐の直営店出店にあたり、様々な背景があったようなので中村編集長と一緒に牟さんに詳しくお話をお聞きしました。

小谷姐姐はどんな麻辣燙?

料金体系はトッピング100gにつき400円の量り売り。1000円以上で麺のサービスがあります。

さっそく他店と違うのは、具材を取る冷蔵庫の形。他店は縦型ですが、ここは奥行きのある3段のレイアウト。彩りも綺麗に見えて、絵の具のパレットみたいです。また冷蔵庫内温度維持のため、上から常に冷気が出ています。ここから具材を選んでいきます。

見通しがよく取りやすい

具材は70種類以上!特徴は牡蠣、海老、ホタテなど海鮮1つ1つが大きく、海鮮の仕入れに強みのある牟さんならでは。

牡蠣やカニが大きい!

また、麺のトッピングでひと際目立ったのは刀削麺。殆どの店が既成麺を使う中、この店の刀削麺は川崎で50年の歴史を持つ製麺所から仕入れています。

麺がくっつかないようにまぶしてある小麦粉を見ると、麺がより新鮮に見えてつい取ってしまう

私は、以前牡蠣を入れた麻辣燙がとてもおいしかったので牡蠣と、個性的な具材のもみじ(鶏の足)や豚のガツ(胃袋)も入れました。そして刀削麺。

ほとんどの店は具をボウルに入れるが、この店ではトレイに入れるので入れた具材も把握しやすい

トッピングの最後には飲み物もあり、レジで一緒にお会計ができます。

ここにあると口頭注文よりもついでに取る人が多く、客単価が上がるという。賢い……
左から青島ビール、ココナツジュース、酸梅湯(酸っぱい梅ジュース)、レモンティー。
どれも中国で有名ブランドの飲み物です

入れた具材をレジに持って行き、スープの種類を選び、辛さを伝えてお会計をします。
辛さは3段階あり、牟さんは辛さが苦手な人のためにゼロ辛も用意しました。
選べるスープと調理法は全部で6種類。

汁ありは「白湯」「トマト」「薬膳」「四川麻辣」。ごまだれの汁なし、麺の代わりにご飯がつく鉄板スタイル

完成を待つ間に、味変調味料を取ります。

中国ではおなじみの食べ方ですが、日本人にはなじみがないため、お勧めの調味料の組み合わせをわかりやすく表示することを意識したという牟さん。

店内の調味料コーナー
読みやすいフォントと適度な空白があり、とても見やすい。これじっくり読んで好みの味を見つけよう
調味料はこんなにいろいろ

注文したものが到着です! 今回は4人で来たので4種類選び、表示にあるお勧めの味変調味料をそれぞれ持ってきました。

白湯

調味料は奥の左が藤椒油、右はしょうがと白ネギ。藤椒油は粒胡椒で、花椒ほどの大きさで若草色を暗くしたような色をしており、爽やかな香りと辛さが特徴

一目見て盛り付けが上手な店とわかりました。中辛でもそんなに辛くなく、野菜と海鮮をたくさん入れたので期待通り海鮮からの旨味が良くでています!

中にお餅が入っていると思った「福」と書いた巾着は、ウニのすり身が入っているそうです!

「福袋おいしいでしょ?」とニコニコで言う牟さん。そうか、福袋って言うのか…!

このスープにはすごくこだわったといいます。開発前に「日本人は麻辣燙をどのような視点で食べているのか」を麻辣燙好きな一般消費者から2回に渡ってインタビューしています。

実はこの試食会の初回に出席していた私は「スープの味のバランスが大事で、スープのおいしい店に行く」と発言。スープの味の好みはそれぞれでありましたが、「スープの味が大事」という意見は共通。

もともと火鍋スープは(油が多すぎるので)飲めないので、スープも飲めるようにしようとつくられたのが麻辣燙。ただ、現地では味変でスープを濃くする人が多いので全て飲まないと牟さんは言います。

一方で日本ではおいしければスープまで飲み、スープの味が大事だという結果になり、これは”火鍋の延長ではなくラーメンの延長と捉えられている”という分析になりました。

これを知って牟さんは「飲み干せるスープを作りたい!」とスープ開発をスタート。鶏と牛ガラと約20種類のスパイスを使い試作、2回目のインタビューで試飲をしてもらい率直な感想を聞きました。「少しあっさりしすぎている」との意見があり、コクを加えたり調整を重ねたり、「毎日5時間炊くスープ」にたどり着きました。特別に調理場を見せていただきました。

5時間炊いたスープ。ゴロッゴロの鶏ガラと牛ガラ
使用している約20種類のスパイス。店頭のカウンター席の上に掲示

具を入れる前のスープも試飲させていただきました。

ここに牛脂、特製ソース、注文時の辛さを足していく

具を入れる前は大分あっさりした味でしたが、牛と鶏の滋味深さを感じます。牟さんは「他の店のこってりしたスープが日本の家系ラーメンなら、ここは博多系」と言います。

味変のごまだれも味の角度が変わり、濃厚になって甘味が増します。

藤椒油を足すと、さわやかな香りとキレのある辛さになりました。

元のスープがあっさりしているのもあり、他の店よりも味変時のメリハリも出て、「飲み干し推奨」の看板と牟さんの言う通り最後まで楽しめます。味変をしても飲み干せるくらいの調整をして、スープを多く飲むというのも日中の食べ方の違いなのではと気づきました。

トマト(ゼロ辛のみ)

麻辣燙が初めてというHさん(男性)が選びました。

肉が多めでボリューミーに

調味料はごまだれとパクチーです。

とろみのあるホッとする感じのスープで、老若男女問わず受け入れられそうな味です。

味変のごまだれとパクチーを入れると、トマトとごまだれは味が濃い同士なのに喧嘩しない味に!ごまだれのまろやかさがいい仕事をし、パクチーの爽やかさもアクセントになります。

汁なし麺(ごまだれのみ)

麻辣燙大好きというIさん(女性)は汁なしに挑戦。調味料は上が黒酢で、下がにんにく、オイスターソース、ねぎ、ラー油を合わせた「背徳の濃厚コクだれ」。

麺を入れ忘れてしまったので、とても少なく見えますが、ここに麺を足すとボリュームが出ます

ごまだれはドロッとしていて、濃厚な混ぜそばという印象ですが、「背徳の濃厚コクだれ」を入れて混ぜると、すごいキレのある味になり、印象も変わります。ぜひ入れてみてほしいです。

鉄板香鍋

中村さんは炒め物の鉄板香鍋を選びました。香辣味(ピリ辛)とごまだれ味があり、香辣味にしました。中国は重慶の味だそうです。

定食屋さんみたいです。アルミが敷かれた鉄板を1人で独占できるような感じがいいですね

重慶と聞くだけで辛そうなイメージですが、ピリ辛で少し甘さもあり、ご飯が進む味付けです。これが気軽に食べられる店が近くにあったらいいなぁと思います。

薬膳

注文例

牟さんがもう一つ開発した薬膳スープ。スープだけ試飲させていただきました。

クミンの香りが強く、やや漢方っぽさもあるのは、トウキ等も入れているからだそうです。

「中国では(僕の時代は)風邪を引いたら薬膳を色々混ぜて処方して飲んでいたから薬膳は日常。中国では(麻辣燙店に)薬膳スープがあっても売れないよ(笑)」と牟さん。中国ほど漢方が日常ではない日本人、特に関心が強い女性に眼をつけたメニューなんですね。

小谷姐姐の狙い

しかし、なぜこれだけ出店が増えたのに、マーラータンの店を出すの? と思った方も多いのではないでしょうか。いま中国は不景気の只中にあり、マーラータンの店も国内で閉店が相次いでいるといいます。もう国内での飲食業界が飽和、むしろ生き残りが激しく、中国の飲食業界は今や「中餐出海(直訳:中国料理は海を出る→中国料理の海外展開)」を見据えることありきの時代に来ています。

そんな中、日本に眼をつけた小谷姐姐(シャオグージェジェ)。いくつものジャンルの飲食店を中国国内で合計5000店舗も展開する飲食店運営会社「天津小谷顿餐饮管理服务有限公司(以下:小谷顿(シャオグードゥン))」の最主力ブランドです。

すでにアメリカやオーストラリア、フランスなどへ進出を果たし、海外でも合計1000店を超えています。

実は小谷顿の社長は牟さんと知り合い。「日本でも直営店を出して事業拡大をしたい」と牟さんに打診がありました。実は2年前も同じ話があり、その時は断っていたので2度目です。

「スープは自由につくっていいから」という提案のもと、「これなら自分の他の店と同様にオリジナリティを出せる。マーラータンはいま、日本では過去にないブーム。だからこそ差別化もできる。」と思い立って共同出資での出店を決意したそうです。

同店はフランチャイズとして別の中国人オーナーが出店していますが、川崎の店は直営店。社長は直掩店を始めることにより中国の庶民的な食文化の継続的な海外発信をしたいことと、今後の出店は味を統一し、日本での麻辣燙文化を本気で根付かせたい意図があります。

小谷姐姐の創業者は女性の張可(チョウ・カ)さん。2024年に中国国内で「飲食界を牽引する人物」にも選ばれたことのある実力者です。実は店頭のこの看板女性は張さんがモデル。

川崎本店の店頭の人形。自分をモデルにするのは日本人にはあまりないアイディアですよね
小谷姐姐の広告。人形と同じ姿で野菜に囲まれている社長の張さん。頭の冠の中央は蓮根。「麻辣燙を清潔で新鮮、健康とおいしさを両立した、誰もが気軽に楽しめる国民的な軽食にする」というブランドの中核方針がある。
小谷顿本社前で。左:牟さん ·中央:張さん 右:牟さんのお店の料理長で麻辣燙担当の焦さん

張さんは食事の中でもマーラータンが大好きでIT業界から飲食業へ参入。最初は個人で店を始めようと小規模な店を試験的に開業しましたが、大きな企業に属した方が長期的に運営できると、小谷顿へ転職し、小谷姐姐の前身となる「小谷顿」を北京に開店しました。

彼女はIT業界時代の得意のデータ分析も活かし運営マニュアルを構築。そして2018年に天津に「小谷姐姐」1号店をオープンしました。「麻辣燙は油っこい」というイメージを払拭するため、中国でも油っこくないスープを提供。清潔感にもこだわっています。

川崎本店でのメインメニューがマーラータンと汁なし麺、鉄板炒めの3種構成ですが、これも現地と一緒で、創業当初に3種にしたことで新スタイルの麻辣燙店を実現したのだといいます。

中国の他の麻辣燙チェーン店とは違い、内装は若い人向けにデザインされていると牟さん。

店内は明るめで清潔感がある。確かに席だけではカフェのような空間にも見える

最近は若い女性だけではなく、家族連れや主婦のお客さんも増えているそうです。今後は少しずつ店舗を増やし、日本ならではの「和風スープ」も開発し、さらなる差別化を図りたいと牟さんの意欲は高まります。

毎日5時間炊くスープ、大きな海鮮具材や生麺を仕入れていることは小谷姐姐の大きな強みです。

「飲み干せるスープ」に行きついたコンセプト、実は消費者インタビューでも意見の多かった清潔感のある店内は、小谷姐姐の油っこくないスープ、清潔感にこだわる点とちょうど合致していました。

日中両国とも国内で生き残り競争が厳しいマーラータンですが、小谷顿も今の日本のブームに期待を寄せています。

牟さんは「しっかりしたマーケティングをして準備をしていれば、競争があっても続けることができる」とその期待に応えて日本でも定着させようとしています。牟さんの言葉が今後の新しいマーラータンの店舗展開の鍵となると思います。

(aokinapple)

同店の詳細はこちら

中国で1,200店舗以上を展開する「小谷姐姐麻辣烫」日本初の直営店「川崎本店」を9月26日オープン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000178962.html

店舗情報

小谷姐姐マーラータン川崎本店

神奈川県川崎市川崎区砂子1-1-19
丸滝川崎ビル1F(川崎駅から徒歩4分)

料金:具材100g 400円(税込)/最低注文金額なし
LINE:https://lin.ee/UjzTFcO
Instagram:https://www.instagram.com/syaogujeje

Writer
記事を書いてくれた人

ライターaokinappleさん
aokinapple

プロフィール

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