5月10日(火)に「マツコの知らない世界」(TBS)の「マジ中華の世界」で紹介された店と料理については、すでに具体的な店名を挙げてお伝えしました。
実は、その5日前の5月5日(木)に読売テレビの「ミヤネ屋」という番組でも「ガチ中華」特集がありました。
出典:読売テレビ-情報ライブミヤネ屋
https://www.ytv.co.jp/miyaneya/
この番組の制作に当研究会も一部協力しています。代表の中村もコーディネイター役のようなかたちで、ちょこっとVTR出演しています。
「テレビの番組って、こんな風につくられていくんだなあ」と思いながら、ディレクターやレポーターさんたちと1日楽しくお付き合いさせていただきました。面白いと思ったのは、「マツコ」の番組で紹介した「マジ中華」の店と「ミヤネ屋」の店がすべてかぶっていたことでした(先に放送されたのは「ミヤネ屋」です)。
現場のディレクターとのやりとりや実際に放送された内容などから、「“テレビ映え”する料理というのは、こういうものなんだなあ」と思ったものです。
では、「ミヤネ屋」で紹介した4店と料理を挙げていきましょう。
1)楊國福麻辣烫 渋谷センター街店/渋谷
番組の最初に登場した店です。これは「マツコ」でも同じで、やはり「渋谷」にある「ガチ中華」というポイントが大きかったのでしょう。しかも、マーラータン(楊國福)という中国の若者に人気の外食チェーンであることも。
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番組では、50種類以上の具材をチョイスし、自分なりにカスタマイズして注文できるという、この店の特徴を伝えていました。
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中島彩レポーターがマーラータンのスープを一口含んだ瞬間、むせていたのがかわいかったです。
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料理/麻辣烫(マーラータン)
2)撒椒小酒館(重慶料理)/大久保ほか
次は、ド派手な内装が特徴の店。烤魚(カオユィ)と呼ばれる魚の煮込み料理が名物です。
出典:読売テレビ-情報ライブミヤネ屋
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この店の内装デザインは中国で「国潮」と呼ばれていることも紹介していました。
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中島レポーターにとっては「初めてのナマズ料理」だったそうです。ちなみに、このナマズはベトナム産です。
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料理/紙包川東過水魚(ナマズの紙包み四川風煮込み)
3)友誼食府(中華フードコート)/西池袋
おなじみ、池袋の第1のフードコート。四川、東北、台湾、上海の味が楽しめます。
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これまで何度か友諠食府のテレビの取材に同行しました。これまでは色味が真っ赤でビジュアル的にインパクトのある「香辣妹子」の四川料理が取り上げられることが多かったのですが、今回は上海料理の「大沪邨(ダーウツン)」の店頭に置かれている「大肉粽(チマキ)」や「酸菜魚」、中華風鶏の唐揚げの「香酥鶏」なども映っていました。
さらに、カメラは併設された中華食材店の珍しい商品を熱心に映していました。
出典:読売テレビ-情報ライブミヤネ屋
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ここでの実食はまず、「三宝粥店」の小吃です。
料理/煎餅果子(中華風お好み焼き)
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煎餅果子は包子(パオズ)や鍋貼(焼き餃子)などのように作り置きではなく、その場で作ってくれるので、出来立てが味わえます。作ってくれるのは、この店のおばさんで、とてもかわいらしい女性です。ところが、撮影中、ちょっとした珍事が起きました。
最近、友諠食府では多局も含め、テレビの撮影が増えているのですが、かなりの頻度でこの煎餅果子が撮られることが多く、おばさんはもうテレビに出たくないと、店の奥に隠れてしばらく出てこなくなってしまったのです。
結局、しばらく間をおいてから、撮影はしないからと言ってなだめて、煎餅果子を作ってもらいました。
その他、レポーターが実食したのは、台湾料理の「匯豐齋(えほうさい)」の臭豆腐です。中島レポーターは台湾旅行に行ったとき、夜市で食べたと話していました。
料理/臭豆腐
出典:読売テレビ-情報ライブミヤネ屋
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そしてデザートとして「大沪邨(ダーウツン)」の上海風餅菓子「桂花条头糕(グイホアティアオトウガオ)」が選ばれました。上海のスイーツは、見た目も味も、日本人が慣れ親しんできたものに近いです。友諠食府の店には、他にも中華スイーツはいろいろあるので、試していただければと思います。
料理/桂花条头糕
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4)沸騰小吃城(中華フードコート)/西池袋
最後は、池袋の第3のフードコートで、この日は実況だったようです。福建料理や湖南料理、四川料理、東北料理など、中国各地の料理を出しています。
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このフードコートの特徴として、中国ではよくあるQRコードでの注文方法を伝えていました。中国ではそのままスマホで決済までするのが普通ですが、現金払いでも構いません。
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それからネコ型配膳ロボット。これは都内の中華火鍋チェーンの海底撈でも見かけますね。
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ロボットに配膳させて、レポーターが実食したのは福建料理の海鮮スープで、番組では「福清チャウダー」と呼んでいました。ここでいう福清とは福建省の省都、福州市南部の東シナ海に面した町の名前で、このフードコートのオーナーの出身地です。海鮮料理が豊富で、カキやワタリガニなどの出汁を使ったスープや麺料理がおいしいです。
料理/福清チャウダー(雑烩湯)
出典:読売テレビ-情報ライブミヤネ屋
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さらに、最近のこの種の番組でのお約束とでもいうのでしょうか。ザリガニ料理が選ばれました。中島レポーターがザリガニの大きなハサミを手に持ちあげていたシーンが面白かったです。
料理/麻辣龍蝦尾(ザリガニの麻辣煮込み)
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最後に、司会のミヤネさんが「ガチ中華」ブームとコロナの関係を口にしていましたが、いまから約1年前に始めた東京ディープチャイナのサイトの第1回目の記事の冒頭の文章がこれです。
「コロナ禍で海外に行けないなか、日本にいながら海外旅行と同じ体験ができる方法があります。
都内に急増している「ディープ中華」の店に行くことです」
ところで、「マツコ」と「ミヤネ屋」が選んだ「ガチ中華」の店がかぶっていたことから、“テレビ映え”する料理にはいくつかの共通点があるように思いました。
まず味が辛いことに加え、それがビジュアル的にも伝わる見た目であることでしょうか。麻辣烫がそうですね。なかでも紙包川東過水魚(ナマズの紙包み四川風煮込み)については、ディレクターさんも「いったん袋に包まれてテーブルに出されたあと、目の前で袋を開けて中身を見せられるところがテレビ映えする」と話していました。
もうひとつは、煎餅果子のような安くて手軽に食べられる小吃系。また臭豆腐のように、比較的多くの人が知っていそうな台湾メニューもそうでしょう。視聴者に親しみを感じさせるのにもってこいの気がします。
そして、必ず選びたくなるのが、麻辣龍蝦尾(ザリガニの麻辣煮込み)やカエル料理のようなジャンク系です。これらには辛さだけではない、意外性とインパクトが感じられるのでしょう。
ほかにも、中華フードコートのQRコード注文など、まだ日本の飲食店にはそれほど広まっていない、中国ならではのシステムについても触れています。
「マツコ」のほうも、放送時間が長いぶん、店や料理の数は多かったですけれど、基本同じ路線で番組がまとめられていたように思います。
これが2022年5月現在のテレビにおける「ガチ中華」の世界ということになるのだと思いますが、当研究会の立場からすると、それらは「ガチ中華」全体からみるとほんの一部に過ぎないと言わざるを得ません。
では、これら以外にはどんな世界があるのか。それはすでに当サイトでも紹介しています。“テレビ映え”だけではないところにも、「ガチ中華」の世界は広がっています。まあ世の中とテレビの関係というのは、たいていそんなものですよね。まだまだ奥深い「ガチ中華」。発掘しがいのある世界だと思います。
(東京ディープチャイナ研究会)